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あれからずっとニノの言葉の意味を考えてた。
「翔ちゃん？どうしたの？」
ベランダの柵に寄りかかり、無言でタバコを吸う俺の背後に届いたAの遠慮がちの声。
「うん？」
「だって…もう３０分…。」
チラッと時計を見て気まずそうに顔を伏せた。
「ごめん、ごめん。そんな経ってた？」
「…ん。」
「月見えねぇなぁって。」
「曇ってるからね…。」
俺がそんな事を思って物思いにふけってたわけじゃないってAはわかってる。
そしてそんなAを俺もわかってる。
「おいで？」
タバコを揉み消して手を広げたけど、
「イヤ。」
って…。
「あらら。拗ねちゃったのかな？」
「…。」
プイッとしてベッドに逃げたAの後を追いかけて俺もベッドへ。
「A？ごめんってば。」
こんもりしてるタオルケットをポンポン。
「…。」
「翔ちゃんもベッド入れて？」
「…イヤ。」
「寂しくて拗ねちゃったってわかってるんだけど？」
「わかってるならほったらかしにしないでよ。」
「…だな。ごめん。」
元々狭いシングルベッドのスペースに無理矢理入り込んで、覆い被さる様に抱きしめた。
「ほら…翔ちゃんもお布団中入れてよ？」
タオルから半分だけ顔を出して恨めしそうな目を俺に向けてる。
「ん？」
「…何でもない…。」
「口は素直じゃねぇのに目は素直。」
目は俺に寂しいって言ってんの。
面白そうに言った俺にまたムッとして。
「…何で？」
「うん？」
「もう！何で私ばっかり？！」
そう叫ぶ様に言ってまた布団の中に潜ったA。
ここは下手に刺激するよりも…。
そっとAから離れて、リュックの中をゴソゴソ漁った。
お目当の物が見つかり丁寧にラッピングされてるのを剥がしてテーブルの上に置いた。
ポケットの中からライターを取り出して火をつけて部屋の照明を落とした。
しばらくすると、ゆらゆらとした頼りない炎と同じく微かに香る頼りない香り…。
「…A。」
背後にいるベッドの中のAを再び揺すって。
「…。」
「ほら…出ておいで？いい匂い…。」
それにキャンドルの炎ってなんか落ち着くだよな。
今日はちょっと感情の起伏が激しいAちゃんにプレゼント。
背後で衣擦れの音がしてタオルケットから顔を出したAに『ここにおいで？』と膝の間を叩いた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2014年10月9日 6時
