明日の君に会いたくて７ (ページ47)

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「沙英・・・」

泣いてる気がしたのに。

「Aちゃんはずるいよ。
長女のくせに、
勝手に家を出てって、
好きな男と結婚して、
もう二度と戻ってこないんでしょ？」

私を振り返った沙英はいつもの強気な口調で、
少しほっとした。

「ごめんね。
勝手ばかりして・・・」

沙英の言う通り、私はわがままだと思う。

「自覚あるんだ。
うちの家のことなんか、
全然、気にしてないのかと思ってた」

沙英が、ふって笑って、
その場にしゃがみ込んだ。

もうジーンズに着替えてる。

私はまだ着物着てるから、
立ち尽くしたまんまで見てた。

「門脇くんと付き合うの？
家を出るの、もういいの？」

それに、濱田さんが、
沙英を凄く気に入ってるって、
大毅が言ってる。

「あの人、ずっとお姉ちゃんの話ばっかりで。
何年前の話してんだろうって。
バッカみたい」

悔しそうに歪んだ顔。

沙英は・・・

もしかして、
門脇くんの事、
前から好きなの？

今、そんな風に感じた。

「私よりお姉ちゃんがいいなんて、
悔しいから。
こっち向かせたら振ってやるの。
だから、もうちょっとここにいるかも。
淳太先輩には、謝っておいて。
就職のこと、いろいろ考えてくれたのに」

「そっか。
沙英なら、門脇くん落とすぐらい、
たやすいでしょ。
淳太先輩には私から伝えておくから」