明日の君に会いたくて７ (ページ36)

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「大丈夫だよ。
おじいちゃん、寂しくて、
拗ねてるだけだから」

お母さんは平気そうな顔してる。

「それより大毅くん、
ビールまだ飲むでしょ。
そうだ。
寝巻きに、
お父さんの浴衣、持ってくるわね。
サイズ合うかしらね」

おまけに、すごくはしゃいでる。

大毅、可愛いもんなあ。

お風呂入った後、
大毅は離れに行っちゃう。

一緒に帰ってこれて、
すっごく嬉しかったけど。

二人きりになれなくて、
少し寂しかった。

大毅は明日には帰っちゃうし・・・

最近、毎日のように大毅が泊まってくれてたから、
一人のお布団って、広くて寂しい。

両親が寝たら、
こっそり離れに行こっと。

ちょっとだけでも、
二人で過ごしたい。

おやすみのキスして欲しい。

そしたら、落ち着いて眠れる気がする。

深夜過ぎ。

こっそり自分の部屋を抜け出した。

離れって言っても、
渡り廊下で繋がってる。

部屋のドアをノックしようとした時。

「温泉のこと、
おじいちゃんには黙っといてあげたからね？
だから、私が就職で家を出る件、
上手く両親に言ってよね？」

中から、沙英の声が聞こえてきて、
思わず、手が止まった。

「やからさ、俺には権限ないって。
な？
それに就職、決まりそうなん？」

まるで、自分の妹みたいな、
親しげな話し方。

胸がチクってなる。

「淳太くんが人事の人に掛け合ってくれるって。
本社の社長の息子の強力なコネだもん。
採用になると思うの。
そこはあんまり心配してない」

うちの会社に入るってこと？

頭、クラクラしてきた。

沙英と一緒の職場で働くって考えただけで、憂鬱。

さすがに部署は別になるだろうけど・・・

「じゃあ、言っちゃう。
おじいちゃんだけじゃなくて、
お父さんの心証もさすがに、
良くないと思うなあ」

「ちょお、勘弁してくれや。
分かったから。
けど、俺が言うてもさ、
なんの助けにもならんと思うけど・・・」

「大丈夫だよ。
両親とも、大毅くんのこと、
すっごく気に入ってたもん。
お願い」