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その後ろから、
沙英がついてきてて。
おじいちゃんに告げ口に行ってたんだって分かった。
「こいつか。
Aをたぶらかした都会の悪い男は」
おじいちゃん、大毅を見つけるなり、
胸ぐら掴んでる。
でも年寄りだし、
自分で思うほど、力は入ってなくて。
大毅がにこって笑って。
「初めまして。
重岡大毅と申します。
Aさんとは、同期入社です。
結婚認めて欲しくて、伺いました」
立ち上がって、
お辞儀した。
おじいちゃん、ちっちゃく感じる。
前はこの年代の人にしたら、
すごくおっきく感じてたのに、
縮んじゃったのかな。
今は大毅よりもずっと背が低いし、
痩せちゃった。
「結婚？
Aの結婚相手は、
門脇さんとこの息子って、
ワシは決めてる」
また勝手な事を言い出すから、つい。
「決められても困るよ。
おじいちゃんの親友の孫だからって。
なんで好きでもない人と結婚しなきゃなんないの？」
冷たく言っちゃった。
見た感じ、とっても弱々しくなったおじいちゃんには、きつい事、言いたくないんだけど。
おじいちゃん、しゅんてなった。
「戦後にあいつと約束したんだ。
自分らの子供を結婚させれたらいいなあって。
そしたら子供が男同士でな。
次は孫に託そうて。
やっと叶うと思ったのに・・・」
知らんがな。
思わず、大毅からうつった関西弁で言っちゃいそ。
「まあまあ、おじいちゃん。
好きな人と結婚するのが一番だから」
お父さんが助けてくれた。
相当、大毅を気に入ってくれたみたい。
「惚れた腫れたなんてのは、
すぐに冷めるもんなんだ。
あんたさんは、何者や？」
大毅のことを頭のてっぺんから足のつま先まで、
じろじろ見て。
「ふん、」
気に入らないように、そっぽ向いちゃった。
「お願いします。
僕たち、結婚したいんです。
認めてもらえませんか」
大毅がおじいちゃんに頭を下げた。
「明日は見合いだ。
A、ちゃん来いよ」
それだけ言い残して、
自分の家に帰っちゃった。
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作者名：fool
| 作成日時：2017年10月19日 14時
