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手の甲をつねってくるねん。


「扱い慣れてるわけないやん」


ほんま、美保先輩には辟易してるっちゅうねん。


「嘘。
いっぱい彼女いたんだ」


話がめっちゃ飛躍し出した。


「いっぱいなんかおらんし。
俺、草食代表やのに」


高校大学とずっとそう呼ばれてたし。


「ふうん・・・」


疑いのまなざしを向けてくる。


まあ、ええけど。


Aの目に、実際よりももて男に映ってるなら。


「お前しか見えてないから・・・
分かるやろ?」

なだめて、よしよししてたら。


「こんなとこで痴話喧嘩?
社内でいちゃつかないでよね」


いきなり背後から美保先輩の声。


Aが慌てて俺の腕をすり抜ける。


美保先輩かって、
俺にキス迫ってきたくせに。

自分のことは棚に上げて。


「お疲れ様。
彼が会社の前で待ってるから行くね」


エレベーターの下のボタン、
押して言う。


彼氏出来たんなら、
俺にちょっかいかける意味が分かれへん。



美保先輩がエレベーター乗り込んで、
動き出すの確かめてから。


「はあ。
よう分からん人や」


つい、そうこぼしたら。


「私は分かるよ。
美保先輩が6年付き合ってた前田課長、
もうすぐこっちに転勤で戻って来るんだって」

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作者名:fool | 作成日時:2017年10月12日 18時

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