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だけど私だって。

ずっとずっと傷付いてたの。


「勝手なことばっかり言わないで。
誰にも言わないから。
全部、忘れて下さい。
私も忘れます」


喉の奥が震えて仕方ない。


淳太先輩、何にも答えなくて。

ただ、私を見つめてた。


振り切るように駆け出した堤防の道。

途中でつまづいて。


転んだ先に、スミレの花。

それ見てたら、涙があふれた。


電話が鳴ってる。


重岡から。


淳太先輩が追いかけてくる足音が背中に近付いてて。


「はい」

慌てて電話に出た。

「A?
もう家?」

「ううん。
道で転んで、
スミレの花があって。
それで・・・」

泣きそう。

そしたら理由を説明しなきゃいけないから、
泣けない。

立ち上がって、歩き出す。

淳太先輩も少し後をついて来てる。


「何言うてんねん。
おもろいヤツやな。
大丈夫?
怪我してへん?
血ぃ、出てる?」

「血は出てない。
そんなにがっつり転んでないもん」

「がっつり転ぶてどんなんやねん」

「どうしたの?」

「うん、あのさ・・・
さっきの。
後からめっちゃ気になってきてん。
俺、最高の思い出にしたいとか言いながら、
あんなとこで、えっと、
最初のキ、キスして・・・
呆れた?」

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作者名:fool | 作成日時:2017年7月23日 14時

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