アタシは右手を上げて ページ19
「あーあ、半間はアタシが倒そうと思ったのに」
「オマエは他にやる事があんだろ」
「……そうだね」
バシッ
アタシは右手を上げて、ドラケンの手とタッチする。
そのまま、包囲の外へ向けて歩き出した。
「また逃げンのかよ──和月ちゃん」
後ろからかけられた半間の声に、アタシは振り返らずに答える。
「大事なヤツを探しに行くの。アンタに構ってるヒマなんて無いから」
そしてアタシは、場地を探すため、乱戦の中に向けて走り出した。
その数秒後、ドラケンと半間のタイマンが再開された。
「行くぞぉぉ半間ぁぁ‼︎」
「来いや‼︎ドラケン」
ドゴッ
ドラケンが半間に拳を放つ。
半間はそれを両腕で受け止める……けど、
ガッシャン！
その体は、奥のスクラップ置き場までぶっ飛ばされた。
「「「⁉︎」」」
芭流覇羅の隊員達は、目を見開いて驚愕する。
「わー、さすがドラケン…」
アタシだってさすがに驚いた……自分とほぼ同じ体格の男をあんな距離まで飛ばすなんて！
「まだまだだぞ、半間ぁー」
「ハハ…ダリィ…ガードしててこれかよ…」
(何メートルふっ飛んだ⁉︎強えぇのはわかってたけど、反則級のパワーだドラケン君‼︎)
副総長に見惚れてる場合じゃないと、アタシは視線を正面に戻す。
下手に目立つとまた囲まれるかもだから、低い体勢で素早く乱戦の中を駆けた。
ここまで見つけられてないって事は、場地の方が避けてるんだろうと予想して、さっきまでアタシが居た位置と東卍の隊長達の位置から、もっとも離れた場所に当たりをつけて……
そうしてアタシはようやく、見慣れないMA-1を纏った、よく見慣れた背中を見つける事ができた。
「！──……」
見つけた瞬間、アタシは場地だけを見つめ、その背中に近付く。
後ろから、ガシッと肩を掴んだ。
「‼︎」
ヒュッ
不意打ちに怯むこともなく、場地から
振り向いた場地と、アタシの目が合った。
「ユウ⁉︎」
「圭介」
自分が今まさに殴ろうとしてる相手に対して、随分と驚いた
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作者名：めんつゆ300ml | 作成日時：2022年9月21日 20時
