ドラケンは後ろに ページ46
ドラケンは、後ろに居るタケミっち達の方を向く。
「タケミっち…オレらもわかってんだ。あの“事件”は、今更どうにもならねぇ。場地も一虎も、あんな事したかった訳じゃねぇ」
マイキーの手がアタシの手を握る。
アタシも、ギュッと握り返した。
──あの日、一虎と場地は、真一郎の店からCB250Tを盗み出そうとした。
1週間後に誕生日を控えていた、マイキーにプレゼントする為に。
当時のマイキーはバイクを持ってなくて、唯一持っていた原付きを、ある喧嘩の最中に壊してしまったばかりだった。
バイクはバブにしか乗りたくないというマイキーの、ワガママとも言えるこだわりを、みんなは呆れてたけど……
一虎は、店のウィンドウに飾られたバブを見て、マイキーが乗る姿を見たいと思った。
場地は、自分がいた場でマイキーに原付きを失わせてしまった事に負い目を感じてた。
だから盗もうとした。
それが犯罪だと分かってても……一虎も、場地も、ただマイキーを喜ばせたかった一心で……──
「そう…今更しょうがねぇって、わかってる」
マイキーの黒い瞳が、真一郎が眠る墓石を見つめる。
「でも、心がついてこねぇ」
その声には、悲しみが滲んでいた。
アタシ達は墓石を後にして、霊園の出入口の方へ歩いてく。
近くに、マイキーとドラケンのバイクが停めてあった。
「場地と一虎が盗もうとした
マイキーの話に、タケミっちは「え!!?」と驚いた声をあげる。
「オレの誕生日に、プレゼントしてくれるハズだった」
ギュッと、心臓が締め付けられるような悲しみに、アタシは目を伏せた。
あの時、アタシが──……
「兄貴の形見のバブ。オレの今の愛機だ」
そう言って振り向いたマイキーに、タケミっちはゴクと唾を飲み込む。
「あれから2年、場地の事は許した。でも──」
マイキーの目が、再びバブに留まる。
「知らなかったとしても」
「……」
アタシとドラケンは、そんなマイキーの背中を見つめる。
「今更どうにもなんなくても」
マイキーは、一層低い声で告げた。
「兄貴を殺した一虎だけは、一生許せねぇ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めんつゆ300ml(プロフ) - 421さん» www コメントありがとうございます！夢主が強いシーンを書くのは楽しいです( ・∇・) (2022年8月11日 20時) (
レス) id: 1f8440cfc9 (このIDを非表示/違反報告)
421(プロフ) - さすがユウ姉さん(汗)頭いい!…た、武道あんまりユウさんのこと怒らせんほうがいいﾎﾞｿｯ (2022年8月8日 18時) (レス) @page37 id: 3223c8ebaf (このIDを非表示/違反報告)
マスコット - 好きです！楽しみにしてます！場地さんいなくならないで(泣) (2022年3月13日 5時) (レス) id: f0407dfffe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めんつゆ300ml | 作成日時：2022年1月18日 18時
