186話ッス!! ページ41
「『プレストターン』!」
――必殺技だった…!
走り去っていく神童君喰らい付いて、覚えたてのスライディングを仕掛けた。
正直、神童君は必殺技が成功した直後が一番奪いやすい。
私が見つけた唯一の弱点だった。…弱点と言われるかは解らないけども。
本当に1秒も無いくらいの僅かなスキだった。それに喰らいつけたのはただの偶然だろうか。
足に吸い付くようにくっついたボールは私の足元にあった。
「風峰…」
神童君が驚いたように私の名前を呼んだ。
緊張の糸が解けたみたいに周りの空気が私の身に掛かるのを感じる。
あ、あぁ…奪えたのか。
「風峰が…神童から……」
井吹の声だ。私はぼんやりとそう思いながら荒い息を整える。
その後に続くようにさくらちゃんが大きな声で叫んだ。
オフェンス側だったハズだが「きゃーっ」と叫びながら私に飛びついてきた。行動が女子だ。
「ボールを奪った!やったぁーッッ!!」
じわじわと実感がわいてくる。頬の筋肉が自然に緩んでいくのを感じた。
口角が上がる。尾さえ切れなくて拳を空に掲げて私は大きな声で叫んだ。
以前の私なら考えられなかっただろうと頭の隅で思いながら。
「やったぁあああっ!!!どやぁあああああｯｯ!!!」
思いっきりそう叫ぶと重かった足取りが随分軽く感じた。
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら喜ぶ。
神童君が呆れたようにため息をつく。でも顔はもうあのどこか怒ったような顔ではなかった。
「まだまだ、これからだぞ」
私の足元に転がっていたボールを取るとまた上がり始める。練習再開だ!
――ばーか、すぐ調子に乗るんだから。
―――変わらないよね。ほんと
「変われたなら、よかったのにね。」
私はまた独り言をこぼしてボールに向かって駆け出した。
さぁ、準決勝は目の前だぞ。頑張れ私。
そしてその日はブラックルームの特訓をして終わりを告げたのだった。
次の日、大変なことになるとも知らずに。
好葉ちゃんが消えた。失踪した。
葵ちゃんが「連れてこればよかった」と自分の行動に後悔する中。
私たちはどうしたものか、と考えていた。
置手紙にはこう記されていた。
『このままIJに居る自信がありません』
私は黙って落ち込む葵ちゃんを座って見上げていた。
……泣きそう、だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
青たん＠卓球部(プロフ) - 高嶺 惟緒さん» 返信遅くなってすいませんっありがとうございます!井吹と風峰は結構ジリジリしますよ〜これからも（笑）まだまだ先は長いですがこれからもこの作品を宜しくお願いいたします!!コメントありがとうございました!!! (2013年12月1日 18時) (
レス) id: 93bc7c834e (このIDを非表示/違反報告)
高嶺 惟緒(プロフ) - 更新待ってましたー！この作品大好きなのでずっと待ってましたw主人公ちゃんと井吹じれったいなあと思いながらも楽しく読ませていただいてます！これからも頑張ってください！ (2013年11月27日 3時) (レス) id: 101a6a6b98 (このIDを非表示/違反報告)
青たん＠卓球部(プロフ) - 花♪さん» 返信遅れて申し訳ありません… テスト大変でしたー…たはは……花さんも頑張ってくださいね!更新頑張ります!! (2013年11月26日 17時) (レス) id: 93bc7c834e (このIDを非表示/違反報告)
花♪ - 私も期末がぁ・・・(´･_･`)マジでヤバイです。テスト頑張りましょう！！( ´ ▽ ` )ﾉ更新も頑張ってください！！ (2013年11月15日 21時) (レス) id: be97a93179 (このIDを非表示/違反報告)
青たん＠卓球部(プロフ) - 高嶺 惟緒さん» ありがとうございます!!更新最近出来なくて申し訳ないです…ごめんなさい…もうしばらくお待ちいただくことになるかと思われますが、気長にお待ちいただけると嬉しい限りです。更新頑張ります!! (2013年10月9日 21時) (レス) id: cd5eecfa11 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青たん＠文才無 | 作者ホームページ：http://now.ameba.jp/aotan-apple/ http://www.nicotto.jp/user/mypage/index?us...
作成日時：2013年9月18日 19時
