化け猫はモルモット -Kei inoo-

32話 慧side ページ42

慧side




俺は、少し長い間
眠りについていたらしい




起きたらあたりは真っ暗で
久々に孤独を感じた









慧｢Aっ……｣









そうだ、Aっ
早く行かなきゃ……っ









俺は彼女のいる
部屋に向かった






お願い、間に合って
行かないで……A









ガチャ……









知｢……っ伊野ちゃんっ！｣





そこには
眠るAと



今にも泣きそうな
光の姿だった






慧｢Aは……っ｣






光｢……伊野ちゃん…｣






あーそうか
もう、ダメなのか……






不思議と涙は出なくて
ただゆっくりと彼女に近寄った




まだ、心臓は微かに動いてる
さっきまであんなに元気だったのにね……





ゆっくり、彼女の頬に触れる
やっぱり、昔から変わらないモチモチの
ほっぺった








あれ……





おかしいな







Aが、霞んで見えるんだ……







慧｢……A……っ｣









｢…慧……｣









慧｢……あの時、俺を助けてくれて……ありがとう……っ｣









｢……ありがとう……慧……私の事……わすれ……なぃ……で｣









慧｢Aは、俺の心の中でずっと生きてる……愛してるよ……A｣









｢……私もだよ……愛してるよ…｣









彼女は、その短い人生に









幕を閉じた……

anotherstory→←31話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す