化け猫はモルモット -Kei inoo-

21話 ページ30

Aside




｢…けー……ちゃん？｣




慧｢…そうだよ…俺だよ…｣




彼はそう言うと、
細くて白い腕を私に伸ばした




私は躊躇なく、その胸に飛び込んだ




｢…けー…ちゃんっ…｣




あぁ、ほんとだ
甘い香り…けーちゃんの匂い




慧｢今まで黙っててごめんね…言おうと思ってたんだ、でも俺こんな体だから嫌われると思って……｣






｢っ……嫌うわけないっ｣









慧｢…っ｣







彼を抱きしめる力を強くすると
彼もまた、抱きしめる力を強くした








｢大好きな人を嫌うなんてっ……そんなのないよっ…｣








慧｢…っ俺もう…死んじゃうんだよっ？！…俺の体はもう無くなっちゃうのにっ…｣






｢…私も同じ…｣






ボロボロ泣き出す彼の手を取って
私の心臓に持ってきた








｢…私ね、不知の病なの…この心臓はあと半年したら動かなくなるの……｣








慧｢……へ｣









｢だから…お願い…この命が亡くなってしまうまで
私のこと…愛してくれますか｣









これが、私にとっての
精一杯の気持ちだった







慧｢…半年じゃないよ、ずっと…愛してる…｣









慧は私の唇に
優しくて、甘い…
そして、長いキスをくれた









光｢……っ｣









涼｢ここに資料置いとく…………か…ら｣









大｢……光？｣









この時、光が泣いてるのを
私達は知らない……

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