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「山田くん、大丈夫かな」
バックヤードに入ってから全然帰ってこない山田くん
私達はあっという間にカルボナーラを平らげてしまって
慧は個室を出て誰かと電話してるし
慧「……はい、はい…すいません……」
ずっと謝ってる……私のせいで仕事をぬけてきたから…
私はと言うと休憩時間中の静かなお店の個室の席で1人でいる
バックヤード…行ってみようかな
山田くんなかなか帰ってこないし心配
確か…こっちに行ったよね?
個室から出て彼のいるバックヤードへ
ぎぃぃっと木製の扉を開けると倒れたパイプ椅子が私の足元に転がっていた
涼「あ……」
目を赤くさせて今にも泣き出しそうな山田くんと目が合った、もしかして泣いていた?
「……だ、大丈夫?」
涼「だ……大丈夫、大丈夫…どした?」
笑顔を作っているけど、鼻は赤くなってるし目元が涙でキラキラ光ってる、きっと大丈夫じゃない…
山田くんは嘘ついてる…これも私のせいなのかな…
「嘘…つかなくていいよ」
涼「……え?」
「泣いてた…?」
涼「…っ」
ほら、涼介は嘘つくとすぐ耳を触る癖がある
「やっぱり嘘ついてた、耳触ってるもん」
涼「な、なんで…Aそれ…」
「……?だって涼介はいつも嘘つくと耳を触るでしょ?」
私何か変なこと言ったかな?
涼介の癖はお見通しなんだよ、だってずっと…
ずっと…?
涼「……A今だけ…お願い…」
「…?」
そう言うと涼介は私のことを抱きしめた
最初はなんでか分からなかったけど
でも、抱きしめてあげないといけない気がして
私も彼を抱きしめた
「涼介…私涼介との記憶が…曖昧で、ごめんね全然違う人に見えてるよね」
涼「…見えてないよ、AはAだよ」
「…そっか」
涼「…ずっとAはAだよ、変わらない…」
「…ふふっ…ありがとう涼介…」
涼介の記憶が戻ることは
この日が最後になった。
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