隣の病室の伊野尾慧くん (ページ10)

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「…」

薮「…」

あまりの不可思議な出来事に私達は顔を見合せて
床にころがったボールペンを見つめた

ｸｽｸｽｸｽ……

「…っ」

どこからか笑い声が聞こえる……
背中からヒヤリと冷たい何かが抱きついて
細くて白い腕が私の首に回される
ふわふわした髪の毛が私の耳に触れた

薮「…伊野尾？」

慧「久しぶりだね、せんせっ」

薮「なんで…お前が…」

びっくりした様子の薮先生
それもそのはず、だって亡くなった人が
目の前に現れたんだから

「…伊野尾くん…さっきボールペン飛ばした？」

慧「飛ばした」

「…危ないでしょ？」

慧「だって…薮がAちゃんに近いから…」

今度は違った寒気が私の背中に走った
恐ろしく冷たいなにか…
私がソレの正体を知るのはもう少し先のお話

「近くないよ！薮先生に用があって来てもらったの」

慧「なんの用？なんの話しようとしたの？」

なんか、怒ってる？
笑って話してるのに目が笑ってないし
光がないから尚更怖い

私が薮先生と話すのに何か問題でもあるの？
まぁ、伊野尾くんの話をしようとしてたんだけど
ホントのことは言えない…今は…まだ

……というか、なんでこんなに伊野尾くんのこと知りたいんだろう