隣の病室の伊野尾慧くん (ページ9)

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点滴も終わり何にも繋がれてない自由な体になったので
薮先生の行きつけだという院内にあるコンビニの前で
待ち伏せをしていた

それにしても今日は平日だからか人が多く
薮先生を見つけられるかどうか…
それに、どんな人かも分かってない
名札で探そうとしてる私はかなり詰んでると思う

「…足長…」

その時白い白衣をすらっと着こなす男性が現れた
嫌でもその足の長さとスタイルで2度見してしまう
異様なオーラに誘われて私はその人に声をかけた

「…すみませんっ」

？「…？」

私より遥かに身長の高い彼の名札が
私の目の前にあって

精神科医薮宏太
と、書かれていた

「薮先生…初めまして、鈴谷Aと言います…あの」

薮「あー！君か！涼介が言ってたのは！」

「…え？」

ふにゃりと笑う薮先生
精神科医…伊野尾くんとなんの関係があるんだろう

薮「涼介から大体の話は聞いてるよ、立ち話もあれだから病室に行こうか」

「は、はい…」

薮「うわ、まじでこの部屋の隣の病室なんだ」

「…あの、ここの部屋のことなにかご存知ですか？」

薮「伊野尾慧くんでしょ？彼がここの病室を使った最後の患者様だからね」

淡々と話す薮先生の話は聞いてはいけないことを
聞いてしまっているようで私の胸はソワソワとしだした

「…伊野尾くんのこと…知ってるんですか？」

薮「知ってるよ」

また、ふにゃりと笑うと
どこから話そうかなぁと言いながら
足を組んだ

薮「知ってるとは思うけど、伊野尾はもう…」

薮先生が話出そうとしたその時
机の上にあったボールペンが
薮先生のおでこに激突した

薮「いてっ」

「…わ！え？なんで…」

勝手にボールペンが飛んで行った…