隣の病室の伊野尾慧くん (ページ8)

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伊野尾くんにキスをされてから数日で
私の体調も良くなっていった
まるで魔法にかかったかのように。

涼「…安定してるからって油断は禁物だからな」

そう言いながら私の点滴の針を固定して
スラスラとカルテに文字を書いていく先生

「分かってる！涼介先生は心配症なんだから」

涼「あのなぁ、Aのために言ってんだぞ？」

カルテを書く手を止めて私のことをキリッと睨みつける
でた、あの顔…眉毛片方上げる顔
いつも怒るとその顔する

「はぁい」

渋々返事をして私はベットに体を沈めた

涼「…あ、それと」

「…？」

涼「隣の病室の事だけど、知ってる先生がいたよ」

「…えっ」

涼「薮宏太先生って言うんだけど、あの人ならなんか知ってんじゃないかな？ここの病院の古株だから」

「涼介先生わざわざ聞いてくれたの？」

涼「…まぁ、覚えてたから」

覚えてた、って…
忙しい人なのにきっとわざわざ時間を作って探してくれたんだ
だってここの病院すごく大きいから人を探すのも簡単な事じゃないはず。
やっぱり優しいな涼介先生。

「…ありがとうございます」

涼「…おう…じゃ、また点滴が終わる頃に来るから｣

「はーい｣

先生が出ていったあと
点滴の副作用で体がふわふわとしてきて
私は眠りについた

早く薮先生に会いに行かないと…