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慧side ページ5
10年前まだこの体が生気で満ちていた時
つまり生きていた時
あの時小さな女の子が隣の病室に入ってきた
俺よりもすごく小さい子だった
歳を聞いたら俺より遥かに小さくて
世界はなんて理不尽なんだろうって思ったっけ
慧ちゃん慧ちゃんって可愛く名前を呼ぶ君を
死んだ後も頭から離れなかった
俺が死んだ日君は一時退院でいなかったなぁ
あー、最後に君と話したかったって思いながら
まぶたを閉じたら
慧「……あれ」
俺は自分の病室に横たわっていた
なんの機械にも繋がれてない自由な体で
慧「…」
ただ、自分の体に体温は感じられず
心臓の鼓動も聴こえない
やっぱり俺は死んでるんだ…
“ねぇ、ここでしょ？お化けが出るって”
“そうだよ、もう使ってない病室なのに音がするんだって”
お化け…
てか、ここ誰も使ってないのか
俺が死んでから使われなくなったのかな
この荒れようじゃ結構年月経ってそう
ガタガタ……
“あれ、開かない”
”え、昨日までは空いてたのに”
”こら！！何してるの！”
”げ！Aねぇーちゃん！”
慧「……A？」
俺のこと慧ちゃんって呼んでた
あの時は小さかったAが
俺と同い年くらいになって今、ドアの外に居る…
会いたい…
そう強く思った
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