✿ ページ3
あの日からとなりの病室の伊野尾くんとよく会うようになった
そしてふたりの秘密も出来た
慧「絶対俺の事は秘密だよ？他の人には言わないこと」
「……どうして？」
私がそう言うと冷たい手を私の頭に乗せて
伊野尾くんはいたずらに笑った
慧「…Aちゃんと一分一秒でも離れたくないからだよ？」
「…え？」
ニッコリ笑ってるのに目に光がなくて
ゾクゾクと寒気がする
伊野尾くんはたまに恐ろしくゾッとする瞬間がある
何を考えているのか分からなくて
だけど引き寄せられる
「…私をからかってるの？」
慧「まっさかぁ！そんなわけないでしょ？」
可愛い顔で見つめられて
何も言えなくなる
この人言葉のチョイスが上手い…
慧「純粋に一緒にいたいだけ…それだけだよ」
綺麗な手が私の顔を撫でる
少しだけ早くなる鼓動
「そ…」
慧「ねぇ、冷たいなぁ」
「伊野尾くん、何考えてるのか分からないんだもん」
慧「…ほぇ？」
「ほら、そうやって可愛い顔する！」
むにににっと彼のもちもちのほっぺを引っ張る
慧「いひゃいいひゃいっ」
「伊野尾くんのほっぺもちもちー！」
なんて、兄妹喧嘩してるみたいな気分の私
きっと兄妹がいたらこうやって喧嘩するのかな？とか
こんなふうに話すのかな？とか
伊野尾くんと過ごす時間はそんな私の妄想を実現させてくれる唯一の時間だった
慧「へぇ…痛覚はあるんだ……」
「……？何か言った？」
慧「ううん！それよりさぁ…」
気のせい…？
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