# 72 ページ32
.
「慧くん、着いたよ」
車で眠ってしまった慧君を軽く揺すって起こす。
「んん……、ゆ…やぁ…？」
「うん。雄也。
海 着いたよ、すっごく綺麗」
「…うみ……」
のそのそと起き上がる慧君。
「浜辺まで歩いて行こう」
「うん……」
右手で目をくしくし擦る慧君の左手をさり気なく手にとって、浜辺へと続く階段を下りていく。
「目開いてる？ちゃんと足元見てよ？」
「あいてるよぉ…」
ゆっくり一段ずつ下りる慧君のペースに合わせて、時間をかけて階段を下りる。
「はい、着きました」
「わ、きれい……」
ちょうど夕日が沈みかけていて、水面をキラキラと照らしている海が俺たちを出迎えた。
「こっちこっち」
俺のお気に入りの場所へと慧君を案内する。
「ここが一番綺麗に見えるとこ」
「うわぁ……、」
周りより少し窪んでいて、ちょうど海が一番広く見える場所。
「ここでボーッと海を眺めてるとさ、なんか落ち着くんだよね」
潜ったり 泳いだり サーフィンしたり
そういうアクティブなのも好きだけど
たまにはボーッと海を眺めるのも良い。
「誰かと来るの？」
「んーん、1人だよ」
「こうた や ひか は？」
「連れてこないなぁ。来たことないかも」
「えっ？じゃあ俺がはじめて？」
「うん、かもね。笑」
そう言えばゆっくりと海へ視線を移す慧君。
「なんか、ゆうやがさっき言ってたこと
ちょっとわかるかも。」
「だろ？」
「うん……」
そのまま2人で静かに海を眺めて、
夕日が沈みだした頃に
「さ、光に怒られるからそろそろ帰る？」
「うん……、また来る？」
「ん、また来ような」
そう言うと微笑んで頷いた慧君。
沈む夕日に見送られながら、俺たちは車に乗って家へと向かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 305人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「家族」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おこめ。(プロフ) - ななみさん» コメントありがとうございます(^^)読んでいただけて光栄です！私もななみさんのお話大好きでいつも楽しく読ませていただいてます♪少し更新ペースが遅れ気味なのですが、これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします○ (2017年10月7日 19時) (
レス) id: ed0bce2747 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 続きがとっても楽しみです。素敵なお話をありがとうございます！長文失礼しましたm(_ _)m (2017年10月3日 13時) (レス) id: 275c269c51 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - こんにちは。おやこのこばなしから参りました、ななみと申します。リクエストの確認をしている際こちらのお話に辿り着き一気に読み進めてしまいました…！慧くんを取り囲む大人たちの優しさにほっこりしつつ、続きを想像してざわざわしつつ…。 (2017年10月3日 13時) (レス) id: 275c269c51 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ。(プロフ) - りみさん» コメントありがとうございます(^^*)♪やっと本題に入ったという感じですね！マイペース更新ですがこれからもよろしくお願いします★ (2017年9月9日 13時) (レス) id: ed0bce2747 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - 初めてコメントさせてきただきます。いつもステキなお話をありがとうございます。今回のお話を読んで、続きを想像したら、鳥肌が立ちました！お話の続き楽しみにしています！ (2017年9月6日 18時) (レス) id: 4ca4f01d29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おこめ。 | 作成日時：2017年8月16日 13時
