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05 天使と悪魔は紙一重 ページ7

心臓が、痛い。
まるで体全体を叩いているようだった。

今回のハンター。名前はジョゼフ様。

彼を遠目で確認した瞬間、暗号機を直す手が震えた。

上手く動かなくなったのだ。

ふと現れた、近くの光の中に飛び込むと、そこにあったのは

自分の姿だった。

その色の無い〈私〉は、私に気付くこともなく、ひたすらに暗号機を直そうとしていて。
それがとても面白くて、笑いがこらえきれなかった。

「私が二人も居るなんて、変ね」

そう言いたかったが。

ここはきっと彼の作った世界。

その世界のモノに対して、変なんて失礼だ。
そうっと、言葉を喉の奥に飲み込んで、笑った。

自然と向いた足と、その先に立っている彼。

彼がとても綺麗だった。

白と黒しかない世界の中で色鮮やかな、青。
澄ましたその色は元の世界の空よりもうんと鮮明感じた。

目一杯の青。人ではない。

人ではないのだ、彼は。

「ねぇ、逃げないの?」

彼が口を聞いた。

「お嬢さん、もしかして迷子なのかい?」

..........当たりではある。私は迷える子羊なのだ。

「案内してあげようか。ついておいで」


心臓が、ドクリと跳ねた。

逃げないといけない。そう体が訴えている。
だけれど、その姿があまりにも。





_______私の、神様。

その人の姿は、とても美しく感じられ、拒むことを罪と言わんばかりに、笑いかけてくる。
差し出された手指ですら、美術品のように洗礼されているように思えた。

いずれにせよ、私が拒む理由がない。
その人の手を取った。

とても、とても冷たかった。

触れたその刹那、世界は崩れていった。


目の前に現れた神様は、崩れていった世界と同じ、色は無く、そして今にも崩壊しそうだった。
それを儚さ故の美と思うか。そもそもの美と問うか。そんなどうでもいいことを考えながら、このゲームでの敗北を悟った。

〈私自身〉は勝ちだが、ゲームの正式な表記上では私のみ、言うなれば一人負けである。

おそらく、私はチェアに縛られるかどうにかして負けるだろう。


エミリー様に教えてもらった「稀に見る優鬼」ではないから。


もしそうだったするならば、とっくに私は暗号機を解き終えているのだから。

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吾亦紅@サキマキ(プロフ) - 猫夜桜((シラキさん» コメントありがとうございます。若干オラついている納棺師くんが好きので俺という一人称にさせていただいています。解釈違いなどもあると思われますがご了承ください。最高と言ってくださってありがとうございます!作者冥利に尽きます。ありがとうございました! (2019年3月19日 3時) (レス) id: 451092673a (このIDを非表示/違反報告)
猫夜桜((シラキ(プロフ) - あれ?納棺師って僕じゃなかったっけ一人称、まぁ、そんなことはどうでもいいとして最高すぎやしないかこの小説(( (2019年3月19日 2時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
吾亦紅@サキマキ(プロフ) - 鯖原さん» コメントありがとうございます!記号の使い方こだわってるというか気をつけているのでそう言って頂けてとても嬉しいです!なるべく早く更新できるように頑張ります!コメントありがとうございました! (2019年3月16日 20時) (レス) id: 451092673a (このIDを非表示/違反報告)
鯖原(プロフ) - わー!申し訳ありません、下の激は劇の誤字です…!お恥ずかしい…。連投申し訳ありません。 (2019年3月16日 19時) (レス) id: f8b777af63 (このIDを非表示/違反報告)
鯖原(プロフ) - コメント失礼致します。とても素敵です…!一つの激を見ているような感じで、凄く惹き込まれます…!言葉の使い方や!の記号の使い所が上手で本当に面白いです!ご無理のないように作者様のペースで更新頑張って下さい。 (2019年3月16日 19時) (レス) id: f8b777af63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:吾亦紅@サキマキ/ふぉーす | 作成日時:2019年1月31日 2時

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