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紫side
相変わらず雨足が強い中、傘を差すのもそこそこに全力ダッシュ。
天気もあって、外はだいぶ冷え込んでいる。
もういないかもしれない。
怒って帰っているかもしれない。
そんな可能性が高いのに、でもやっぱり……と思って待ち合わせ場所へ急ぐ。
「ﾊｧｯ……ﾊｧｯ……っ……ﾊｧｯ……」
目的地に着くと、もう人はまばらで、きっと企画展も終わっている。
目当ての人物がいないか辺りを見回すと、
「ﾊｧ…………ﾊｧ…………っ！！」
いた。
少し端のほうで、傘を差して。
着ている服の濡れ具合が、雨の強さと、長い間その場所にいさせていたことを物語っていた。
「康二っ！！」
橙「っ！……あっ…」
呼ばれたことに驚いた様子で、こっちを振り向き、
橙「…ふっかさん、」
「ごめんっ、……俺っ……寝過ごして、」
橙「良かったぁ。」
「えっ？」
思いもよらぬ言葉に、こっちが驚いた。
橙「心配してたんよ。……具合悪いんかなとか、
事故に遭ってへんかなとか……でも大丈夫
やったんや……ホンマに良かった…」
「っ！！」
橙「わっ！……ふっかさん？」
信じられないくらい待たされているのに、俺を責めようとする様子なんかなくて。
むしろ良かったなんて、本当に安心した表情を見せている。
申し訳ないとか、謝りたいとか、そういう気持ちはもちろんある。
けど今は、
とにかく抱きしめたくて、
愛おしくて、しかたなかった。
橙「…ふっかさん、濡れてまうから。」
「…いい。本当、ごめん。楽しみにしてたのに。」
橙「ふふっ。ええって。無事やったらそれで
ええんよ。」
「……ありがとう。」
抱きしめた体はとても冷えていて。
持ってきた上着を掛けてやって、ぎゅっと手を繋いで、帰路についた。
風呂に入って体を温めて、２人でゆっくりしてるときに聞いてみた。
「どうして怒らないの。」
橙「だって、ふっかさんが何も言わずに約束
すっぽかすなんて、普通ありえへんもん。
何かあったと思って、心配やんか。でも、
何もなかった。安心するのが大きいのは
当たり前やろ？何で怒らなアカンの？」
ああ、やっぱりこいつの心は、とてつもなく綺麗なんだ。
「康二……すきだよ。」
橙「ふふっ。……俺も、大好きやで。」
本当に愛おしい、俺の……大切な存在。
fin
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めめこじ好物 - ちゃいさんの小説最高です！そして胸に刺さるものばかりで毎日読んでます。お忙しいとは思いますが、頑張って下さい！ (2020年1月16日 22時) (
レス) id: c96a15eab3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃい(プロフ) - mitsu0321さん» ありがとうございます！読んでいただけて嬉しいです！少しずつ更新していきますので、お暇な時にでもよろしくお願い致します。 (2019年10月18日 22時) (レス) id: 3fb2dd4ba2 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃい(プロフ) - なすさん» 遅くなってしまい、申し訳ありません！めめこじとのことですが、設定などのご希望はございますか？よろしければ教えていただけると嬉しいです！ (2019年10月18日 22時) (レス) id: 3fb2dd4ba2 (このIDを非表示/違反報告)
mitsu0321(プロフ) - 最近なべこじにハマり、拝見させて頂いてます〜！いつも素敵なお話をありがとうございます！これからも楽しみにしてます♪ (2019年10月15日 22時) (レス) id: 69c6188f58 (このIDを非表示/違反報告)
なす - めめこじ書いてほしいです！ (2019年10月14日 7時) (レス) id: b7037150e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃい
| 作成日時：2019年10月2日 7時
