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久しぶりに部屋から出ると
一階の廊下でばあちゃんの話し声が聞こえた
どうやら電話で誰かと話しているみたいだった
俺が降りると、ちょうど電話を終えたばあちゃんが俺に気がついた
その表情は
何やら暗い
「どしたん」
そう聞けば、ばあちゃんは俺に居間に来るよう言うので
それに従って後をついて行った
机を挟んで
向かい合うように座る
「流星、大事な話があるんよ」
スッと背筋を伸ばし
まっすぐに俺を見つめる祖母
俺も猫背を伸ばしてみる
部屋には緊張が走っていた
「さっきな、あんたの従姉妹さんから電話があってな
まず、Aが退院したらしい」
「え、従姉妹？」
俺の言葉に祖母が頷く
従姉妹とはあったことは一度もないし
居ることは知っていたが、連絡すら今まで来たことはない
確か俺の11歳上だった気がする
祖母が少し動く気配がしたので
もう一度視線を上にあげた
まだ話は続くようだ
「ほんでな、あの事故からのAの様子を教えてくれたんやけど」
そこまで言うと、祖母は言葉を詰まらす
何か言いにくいことがあるのか
伏し目がちな瞳は、左右に揺れていた
俺はそれを急かすこともせず
ただじっと待つ
「ちゃんと、聞けるか？」
やっとこちらを見た祖母は
不安げに俺を見つめるので
何を聞かされるか予想もつかない俺は
ただ小さく頷いただけだった
息を長く吐き
祖母は決心したようにもう一度口を開く
「Aな、親戚中から酷い扱い受けてるらしいんよ
葬儀の日も人殺しだの死神だの言われて
一度病院の屋上から飛び降りようとしてるとこ看護師さんに保護されたらしくてな
退院して1週間経つんやけど
叔母さん、お父さんのお姉さんやな
その人から暴力も受けてるみたいで
従姉妹さんも全部把握してるわけちゃうけど
会いに行くたび顔に痣作ったりしてるから
多分そうやないかって」
そこで言葉を区切り
祖母はもう一度長く息を吐いた
俺は、何も言えず
ただそこに座って祖母の言葉を頭の中で組み立てる作業をしていた
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作者名：民 | 作成日時：2018年11月3日 16時
