流星編 完 ページ41
翌日しっかりと熱を出した2人は
同じ部屋で眠っていた
何だか思ったよりも早く元の形に戻る4人に
拍子抜けしていた
約3カ月もあんな状態だったのに
そういえば濱ちゃんと照史が喧嘩した時も気づいたら仲直りしていたっけ
俺は神ちゃんと喧嘩はしたことないが
そういうものなのかもしれない
何だか騒がしい2人に一喝すると
楽しそうに笑いあっていた
それぞれがちゃんとお互いのことを思い合っていた
人間誰しも間違いは犯してしまう
誰かを傷つけ、傷ついても
心のどこかで想い続けていればもう一度笑い合うことだって簡単なことなんだ
そんなことに
成人を迎えてやっと気が付いた
本当に不思議な奴らだ
久しぶりにあのノートを開いてみる
妹がこの島に来たあの日から
一度も手に取らなかったものだ
机の奥底に埋もれたそれは
少しくしゃくしゃになっていた
1ページずつめくっていく
そこに書かれたものを
俺はいくつ叶えることができただろうか
何か、Aにあげることはできただろうか
そうだ、クリアしたものは最後のページに書き記そう
そう思い一度閉じたノートの裏表紙をめくると
そこには、カラフルに彩られた文字が書いてあった
"その夢、叶えてみせる"
一番でかでかと書かれたその文字の周りに
テキトーに書かれた変なイラスト
あいつら、いつの間にこれ見たんよ
浮かんでくる笑みと
頬を伝う涙
俺は、1人じゃなかった
みんながいた
ずっとこの部屋にこもって悩んでいたときも
弱い自分に涙を流した時も
防波堤で足を止めただその先を眺めていた時も
ちゃんとみんなは考えていてくれた
俺が思っていたよりもずっと
その優しさに今更気付いた俺は
頰に伝う涙を拭うことはしなかった
もしかしたら、いつの間にか俺も1人だと勘違いしていたのかもしれない
俺がやらなきゃ、俺が頑張らなきゃ
そうやって思うだけで何もできなかった俺は
みんなに支えられて今こうして妹と向き合えている
ありがとな、みんな
その言葉をつぶやいて
ノートをまた机の中に戻した
来年は、妹と一緒に墓参りに行こう
-流星編 完-
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作者名:民 | 作成日時:2018年11月3日 16時