・ ページ35
そしてやってきた夏休み初日
朝、何やら慌ただしい声を聞いて一階へ降りれば
びしょ濡れになった望とおぶられたAが目に入った
どういうことだ
全く頭が追いつかない
それでも、何かあったことは明白で
望がAを下ろした瞬間に掴みかかった
「おい、どういうことやこれ！」
怒りをあらわにするおれに
望はただ「ごめん」と呟き涙を流していた
とりあえず2人には体を温めてもらわなければいけない
怒りを抑え込み
あとで話を聞くことにした
風呂から上がった妹を部屋に連れて行き
望が来るのを待つ
その間、俺たちは何も話さなかった
何もわからないまま、ただ怒りを拳に抑え込む
Aは怖がっているだろうが
ごめんな、今は気遣ってやれへんねん
望が帰ってきて問いただすと
ここでは話せないからというので
俺の部屋で話すことにした
Aを1人にすることに少々躊躇いはしたが
今から話される内容がAにとって聞きたくないことならそれは仕方がない
「ほんで、何があったん」
あからさまに語気を強め
望をまっすぐに見つめれば
少しうつむきがちに事情を説明してくれた
「俺も、あんま分からんねんけど
しげがAを突き放した」
「は？」
「もう関わらんでって
何があったかは分からんねん
なんで急にしげが変わったのか分からんねん
最近確かに様子はおかしかったんよ
急に俺らのこと避け出すし
なんや、独りになりたがってる感じで
昔に、逆戻りしたみたいや」
そうポツポツと話す望は
大きな瞳に涙を携えている
それをこぼさないようにグッと拳を握りしめていた
「俺が、俺がもっとちゃんとしてたら！
Aが傷つくことなかったのに…
ごめん…ごめんな流星…」
気付けば、拳を望に向けていた
「ふざけんな！！」
殴られるとわかっていながらも
彼はそれを避けようとしなかった
ガラッと扉が開く
その先に、Aが座っているのが見えた
「やめて！！」
そう叫ぶ妹の声に
俺は耳を傾けなかった
未だ視線は望を捉えている
望が悪いわけじゃない
そんなことはわかっている
それでも、一番2人の近くにいたお前が
何故それを止められなかったんだ
怒りで余裕がなくなった俺は
そんなことしか考えられなくなっていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 197人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：民 | 作成日時：2018年11月3日 16時
