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話を一通り聞き終わり
俺はAの頭に手を置いた
「お前さ、無理しすぎやろ」
両親が亡くなった時
妹に味方はいないと思っていた
それは違う
ちゃんといたんだ
どんなに連絡がつかなくても諦めない
一番の友人がいたじゃないか
その人物さえ頼らず
なぜ1人で全て抱え込もうとするんだ
俺やばあちゃんに頼れなかったのはわかる
それでも、神ちゃんには言っても良かったんじゃないか
やって、お前の親友なんやろ？
「お兄ちゃん…」
呼ばれ慣れないその名前は
なぜかこの時は違和感を感じなかった
「なあ、A
お前は独りなんかとちゃう」
みんながいる
いつだってお前のことを思って涙してくれる奴らが沢山いる
濱ちゃんも淳太も照史も
しげだって、おそらく望や睦月ちゃんも
お前の力になりたいと思ってる
「それでもお前は独りだって言うんか？」
そう問えば
Aは大きく首を横に振った
「ごめん」
「俺は謝ってほしいとちゃうぞ」
そういえば
小さな声で
「あ、りが、とう」
と呟いた
その言葉を聞き
ずっと耐えていた涙が溢れでる
神ちゃんも、笑いながら泣いていた
なあ、A
今は信じられなくてもいい
それでもこの島には
いや、この世界には
たくさんの希望や夢がある
たくさんの暖かい人達がいる
お前の未来は
そんな暗いもんとちゃうんやで
それから他愛もない話をし、
少し陽が傾いた空を見てまだ挨拶をしなければいけない人物がいることを思い出した
見送りに外まで来てくれた神ちゃんに背を向けて歩き出す
Aは久しぶりの友人との再会に喜んでいるようだ
表情が緩くなっている
会わせてよかった
2人にそんな接点があることは知らなかったけど
結果的に良かったのならそれでいい
淳太といい神ちゃんといい
やはりこの世界はあまりにも狭すぎる
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作者名：民 | 作成日時：2018年11月3日 16時
