青い夏-Another story- 《流星編》 (ページ28)

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その後島を回り
大体の人には挨拶が完了した

公園で子供たちにサッカーに誘われたのは計算外だったが
膝に手をついて呼吸を荒くする俺を楽しそうに微笑む妹を見れたから良しとしよう

あとは神ちゃんとしげ、望くらいか
睦月ちゃんはおそらく島にいないだろうけど一応探してみよう

まず、神ちゃんの家に行くことにした
しばらく部屋に引きこもっていたため
会うのは2、3日ぶりだ

「かみちゃーん！！！！！」

いつものように大きな声で呼びかければ
特徴的な金髪の彼が窓から顔を出す

俺に負けないくらいの大声で返事をし
1分も経たないうちに出てきてくれた

その瞬間、勢いよく抱きついてくる

どうやら心配していたらしい彼は
嬉しそうにはしゃいでいた

ふと、後ろから声が聞こえた

「とも、くん？」

少し躊躇いがちに発せられたその名前は
間違いなく幼馴染の名前で
後ろを振り返れば妹が目を見開き驚いていた

「あ、れ？
A？」

神ちゃんも同じように目をまん丸にすれば
Aの前まで駆け寄って手を掴んだ

何やら会話を弾ませる2人
俺は訳がわからないままそんな光景を眺めていた

やっと俺のことを思い出したのか
神ちゃんが振り返って
「なんで流星とおるん？」
なんて質問を投げかけてくる

いや、聞きたいことがあるのはこっちや

思いっきり置いてけぼりにしといて
何も説明なしはやめてほしい

とりあえず妹だと紹介すると
事情説明をするからと神ちゃんの部屋に案内された

それから、2人の接点を聞いていた

まず、Aがダンスをしていたなんて初耳だ
両親もそんなことを口にしたことはなかった

そして、年に何度か幼馴染が参加していたダンス大会
それは2人が出会い絆を深めた場所だった

神ちゃんもそんな話一度もしなかった
少しくらい話してくれてもいいではないか

いや、東京を毛嫌いしていた俺にそんな話できなかったのかもしれない

両親を奪ったのは
妹ではなく東京だと神ちゃんに何度かボヤいたことがあった
それを気にしていたのだろう

神ちゃんが話すいくつかの出来事は
妹がどれだけ東京で辛い思いを重ねてきたか知らされるものだった

足のことだって、彼が話さなければ一生知ることはできなかっただろう

そして、Aにとって神ちゃんがどれだけ重要な存在か
それは聞かずとも、その表情で分かった

きっと一番の友人なのだ
優しくて、かっこよくて、友達思いな熱い彼は
俺にとっても妹にとってもかけがえのない存在だったんだ