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翌日、物音で目が覚めた

あまり気にせずもう一度布団をかぶってみても
なかなか眠気が戻ってこない

だんだんと嫌な予感がしてきて
ベッドを出て扉を開けると

向かいの扉が開けっぱなしになっていた
その奥のベッドに妹の姿はない


昨日来たばかりのこの島を
まさか1人で歩くつもりやないやろな


昨日約束した島案内を待てなかったのだろうか

コートとマフラーを手に取り
あとを追うように玄関に行けば

靴が一足なくなっている気がした


勘違いだったら帰って来ればいいだけだ
そんなに焦る事でもない

そう思っていても、逸る気持ちを抑えられない
少し足早で歩いていけば

雪が積もった小道に真新しい足跡を見つけた


おそらくAのものだろう
それを辿るように先へ進めば

防波堤の上に腰掛ける人影
Aだ


声をかけようかと思った時
横からしげが歩いて来るのが見えたので
別にやましいことは一切ないがなんとなく身を隠してみた

声は聞きとりにくい
ただ、Aの頰がキラリと光った気がした


泣いている
直感でそう思った

なぜ泣いたのか、いくら考えてもわからないが
彼女なりに何か想うことがあったのだろう


しばらくその様子を見ていると
しげがAの隣に腰掛けた

海を眺める2人の背中を見つめる
なにやら話し声が聞こえるが
距離が遠くて内容は聞き取れない

すると、Aの方を向いたしげの顔が見えた
笑っている
俺の大嫌いな顔だ

おそらく浮き出た笑窪が気になったのだろう
Aがそこに人差し指を触れると
しげは驚いたように目を丸くした


その顔は、ごく自然で
しばらく見ていなかった彼の本当の顔だった

しげがAの手を掴み
そのまま二言ほどかわし

フッと微笑んだしげの笑顔は
あの作り物じゃなく
しっかりとした、本物の笑顔だったことを俺は見抜いていた


あんだけ何しても変わらなかったのに
出会って数分のやつにそれを見せるんか


似た境遇にある2人は
どこかでそれを察知したのかもしれない

もうそこには、俺が入り込める場所はなかった

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設定タグ:ジャニーズWEST , 藤井流星   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2018年11月3日 16時

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