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朝、目が覚めると
時刻は6時
普段よりも何時間も早く起きてしまった
昨日ソワソワしてなかなか眠れなかっため
睡眠時間は3時間程度だった
居間へ行くと
祖母は慌ただしく動いていた
「何しとん」
「あら、おはよう
随分と早いんやね」
「目が覚めただけや」
指摘されたことが恥ずかしくて
それを隠すために少し強い口調で反論した
もうずっと収まらない不安も
ここまできてしまえば覚悟を決める他なかった
「お昼過ぎに着くって連絡あったわ」
時間はまだまだある
あと6時間
何をして過ごそうか
取り敢えず意味もなく家の掃除を始めた
昨日祖母が隅まで綺麗にしたところを
もう一度掃いてみても
余計に埃が舞うだけだった
朝食もボロボロと口からこぼれ
祖母にしっかりと叱られた
テレビは何も面白いことはやっていない
幼馴染は仕事の日だ
意味もなく淳太に電話をすれば
「部活中やから」と言って切られてしまった
妹の部屋で昨日置いた霞草を眺める
母の匂いも、記憶も全て薄れてしまった
写真に収められた両親の笑顔は
もう二度と見る事はできない
だんだんと襲ってきた眠気に体を預ければ
寝不足の瞼はすぐに閉じていった
目が覚めると、空はすでに茜色
もうきてしまったかと焦ってみたが
どうやらその気配はなかった
体を起こし立ち上がると
「えーーーー？！」
という大きな声が聞こえてきた
この声は濱ちゃんだ
何があったのかと玄関を出ると
門の前に濱ちゃんが見えた
「濱ちゃん、うるさいわ
声中まで聞こえたで」
そう声をかければ、俺に気がついた彼はこちらに顔を向ける
顔はまだ驚いたままだ
少し視線をずらせば
濱ちゃんの隣に女の子が立っているのが見えた
その子は
紛れもない俺の妹で
9歳の時以来見ていなかった姿は
母によく似た顔によって名前を聞かずともすぐに判断できた
時間が止まったようにゆっくりと流れる
俺を見た瞬間、妹は呼吸を荒げ膝をつき
耐えられなくなったのだろう
その場に倒れ込んでしまった
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作者名：民 | 作成日時：2018年11月3日 16時
