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なんの進展もないまま
両親の命日も過ぎ
季節は冬になっていた
今日は週一回の仕事の日
宅配を終え
すっかり暗くなった道を歩いていた
白く象られる息は
視界を曇らせるほど濃く吐き出される
願望を書き連ねたノートは
もうすでに半分以上のページを埋めていた
してやりたいことはたくさんある
でも何一つ出来ていない
焦りさえも、今は諦めに変わりつつあった
「ただいまー」
もう床に就いているであろう祖母を起こさないように小さくそう呟くと
珍しくまだ起きていたばあちゃんが居間から飛び出してきた
「ぅおっ！なんやねん、びっくりするやんけ」
「流星！Aが、こっちに来るって！」
「え…？」
1年間、どんなに説得しても拒否し続けた妹が
頷いたのはなんの前触れもなくて
昨日だって曖昧に返事を返してきただけだ
いや、返事が曖昧になったのは
彼女の中に戸惑いが生まれていたからなのか
いきなりの進展に、頭は追いついてくれない
「ほんまに…？」
「こんな嘘言ってどうすんねん！
今日連絡があってな、来年の3月に来るって、確かにそう言ってたんよ！！」
嬉しそうに言う祖母は
俺の腕をブンブン振り回す
対して放心状態の俺は
口をポカンと開き
ただ一点を見つめていた
嬉しさ半分
不安半分
あれだけ守ってやると決めていたのに
いざ妹が来るとなると
どうしようもなくモヤモヤして
自信がないんだ
偉そうに言ったって
自分にできることは限られているわけで
すでに笑うことも泣くこともできなくなった頑固な妹を
自分が救えるのか不安で仕方ないんだ
それでも、確かにその奥には嬉しさとワクワクがあって
色んな感情が渦巻く頭を思いっきり振って
ただ今は祖母に笑いかけることしかできなかった
妹が決心したんだ
それならば、俺も進まなければいけない
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作者名：民 | 作成日時：2018年11月3日 16時
