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「流星」
「神ちゃんやん、おかえり」
高校を卒業し
受験を諦めた俺は島に残っている
幼馴染も同じく
いつの間にやめたのか
やはりこの島にいた
「どうやった、大会」
「もう高校生やないから観客としてやったけどな
まあ良かったんちゃう」
そうか、年に2回あるダンス大会
小学生から高校生までが参加するそれは
神ちゃんにとって去年の冬が最後だった
見に行ったことはないが
毎回好成績を収めて帰ってくる彼は
学校にトロフィーを寄付していた
校長は毎回困り顔だったけど
「そういや、俺本州でダンス教室やることになったで
月に2回程度やけど」
「へー、すごいやん
神ちゃんリズムの取り方独特やからみんな付いて行けんのとちゃう？」
「そんなことないわ！」
いつの間にかダンスを極めた神ちゃんは
振付師の仕事もやっていた
本州にいた方が仕事がしやすいというのに
それでもずっと島にいるのは
きっと俺を置いていけないと思っているからだろう
そんな俺も
その優しさに甘えている節があった
「それにしても妹ちゃん
なかなか来おへんな」
「意固地やねん」
「似てるな、流星に」
そうだろうか
俺はもっと素直だったはずだけど
今日も祖母は電話をかける
そして落ち込んだ顔をするのも
もう毎日のことで慣れてしまった
やっと今の現状を話してくれるようになったらしい妹は
それでもまだ弱音など吐かないという
父もそうだった
どんなに疲れていても何も言わない
一度体調を崩した時だって
無理をして島まで来て俺の相手をしてくれた
そんな頑固なところ似なくていいのに
「妹ちゃん、いつか来ると思うで」
俺の気持ちを読み取る神ちゃんは
いつもそう言って励ましてくれる
それを信じて俺も待つ
いつかその時が来たら
ちゃんと温もりを与えてやるんだ
それがいつになるかは分からない
それまで、どうにか踏ん張らなければ
俺も、妹も
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作者名：民 | 作成日時：2018年11月3日 16時
