青い夏二章 (ページ49)

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----小瀧side----

5日前からしげの様子がおかしい

Aに呼ばれても反応しないし
誰よりも早く教室から出て行ってしまう

でも、俺は気付いていた
あいつは帰ってるんじゃない
屋上から俺らの姿を見ていたんだ

あの日、しげの腕を掴んだ時
きっと2人は気づかなかっただろうけど

俺の大嫌いなあの瞳を隠すように
悲痛に顔を歪めていた

あの行動はしげの本心じゃない
何かあったんだ

そうと分かればすぐにでも話をしたかった
でも、あの子が

Aが傷ついていたから
1人にはしておけなかった
1人にしてはいけない気がしていた

それと、もう一つ気になったのは睦月だ

しげの態度が明らかに変わったのに
特に何も言わない
むしろしげの後を追っかけ回している

今回のことは
睦月も関わっている

そんな睦月も俺から逃げるように何処かに行ってしまうから
結局何もわからないまま夏休みに入ってしまった

そういえば、海には行っているのだろうか

Aも何も言わなかったし
それを確認することさえ忘れていた

夏休み初日
朝4時半に目覚ましをセットした

前に散歩中たまたま2人を見かけたのは
このぐらいの時間だった気がする

目覚ましの音で目が覚め
そのまま身支度もせずにあの防波堤へ向かった

そこには、
腰掛けるしげと
その後ろに佇んでいるAがいた

「お前、もう来んな」

しげの冷たい声が響く
俺は耳を疑った

Aが一度話してくれた
あの防波堤でしげといる時間が一番好きだと
あそこが自分の居場所だと

しげもそれがわかっていたはずなのに
いや、しげが一番分かっているのに

その居場所をお前が奪うんか？

「もうさ、迷惑やねん
こういうの」

おそらくAからしげの顔は見えないだろう
斜めに位置する場所にいる俺には見える
顔を歪め、必死に涙をこらえる幼馴染の顔が

「好きって言ったのも嘘やし」

それ以上言うな
それを言って傷つくのは
お前やろ

「もう、俺に関わらんで」

その言葉を彼女が聞いたかは分からない
耳を塞いでどこかへ走り去ってしまったからだ