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ずっと一緒にいて
離れることなど許されないというほど隣にいた彼はこうして健康そのものなのだ
私だけ、なぜ私だけがこんな目に遭わなきゃいけないのだと、頬を伝った涙は花弁へと変わっていった
もう私は人間ではないのだ
痛みもなければ血を流す事もない
涙までも花に変わってしまう
「綺麗やで、A」
そう言った幼馴染の声が嫌なほど耳に残っていた
こんな姿で綺麗だと言うのなら
私は、綺麗になんてなりたくなかった
汚いままで生きていたかった
痛みを感じ、時には人を傷つけてしまって
涙を流し、血を流し、そうやって人間臭く生きていたかった
なんて残酷なのだろう
気持ち悪いと、突き落とされた方が何倍も楽だなんて
ベッドの裏に隠し持っていたナイフ
家から持ってきて、その時が来たらとずっと大切にしまっていた
今こそ、それを使う時なのかもしれない
苦笑いをした
涙が頬を伝った感覚がした
手元に落ちた花弁を握りつぶして投げ飛ばした
そうだ、どうせ痛みなどないのだから
一思いに、終わらせて仕舞えばいいんだ
自分の心臓に、ナイフを突き立てた
じわり、と広がったのは痛みだっただろうか
目線の先には今まで見たことがない綺麗な花が咲いていて
この花は、そうか
私が小さい頃からずっと大好きだった花だ
彼に向けた、最後のメッセージになってくれるだろうか
彼は、なんと答えてくれるのだろうか
「A…？」
私の名を呼ぶ愛おしいその姿は
私がこの世界で見た最も美しいものだったと、胸を張って言えるだろう
視界の隅に移った床に転がったナイフ
ああなんだ、私はまだ人間だったのか
A side 完
終わり
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作者名：民 | 作成日時：2019年3月27日 3時
