涙で光るガラス (ページ43)

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なんて声をかけたらいいか考えているうちに、Aちゃんは俺の腕から離れていった。

話を聞いていたら、俺が何か隠していることが気に障っちゃったみたいで。

色々話しているうちに、目の前に差し出されたのはグループで表紙を飾った雑誌だった。

たまたま本屋で見つけたらしい。

いつかこんな日が来るとわかっていたのに、これを機に離れていっちゃうんじゃないかと思ったら不安で話せなかった。

様子がおかしいのは、俺がアイドルだってわかったから？

それとも他にもなにかあるの？

"…もうこれ以上、好きにさせないで"

そんなこと言われても、どうしていいか分からないし

俺も好きなのに、Aちゃんと気持ちは伝えないって約束したから言えないし

このままじゃ、どこかに消えていなくなっちゃいそう。

不安で、次会える日を聞いてまた無理矢理約束を取り付けた。

ねぇ、Aちゃんの好きは俺の好きとは違うの？

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朝起きて一緒にカフェに向かって海に行って、ハート型になったシーグラスを見つけた。

交換する時に何故かAちゃんは涙目で、海風に吹かれてひらっと飛んで行っちゃいそう。

シーグラスをギュッと握りしめたAちゃんは、俺がキスした意味を知りたいって。

もう今ここで気持ちを伝えないと。

繋ぎ止めないと。

そう思って好きだと伝えて"だから俺と付き合ってほしい"と声をかけたかったのに、その言葉は遮られた。

『私、海斗くんのこと好きになってよかった。海斗くんから気持ちも聞けて嬉しかったよ』

松倉「何で過去形？」

『…うん、好きだった』

松倉「もう、好きじゃないの？」

『シーグラス、捨てていいから』

松倉「は？」

『私、今日のシーグラス一生大切にするね』

さっき交換したシーグラスを俺に見せながら力なくふにゃっと笑ったAちゃんの目から出た涙は、シーグラスを濡らして透明に輝く。

『じゃあね、海斗くん』

"またね"じゃない挨拶は、別れを意味しているんだろか。