涙で光るガラス (ページ35)

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ひとつのベッドで抱き締め合いながら寝て、起きてカフェに寄ってから海に行く。

こんな生活できるのも、今日が最後。

海斗くんともっと話したかった。

今の海斗くんのこと、もっと知りたかったよ。

松倉「みつけた？」

『うん、みつけたよ』

シーグラスを探して、お互い持ち寄る。

せーのでふたり同時に手を開くと、お互いハート型になったシーグラス。

海斗くんが持っているのは青色、私は緑色。

交換する時、一瞬手が触れてそのままゆっくり離れる。

『…海斗くん、ひとつ聞いてもいい？』

松倉「なに？」

『何回かキスしてきた意味、知りたいの』

松倉「俺の気持ち、言っていいの？」

『うん』

気持ちを聞けるのも、最後。

松倉「愛しいなって思ったから」

『え…？』

松倉「俺、好きな子にしかキスしないよ」

やっぱり聞かなきゃ良かった。

離れたく無くなっちゃう。

いっその事、フってくれたらよかったかも。

いや、きっと私はどっちに転んでも海斗くんとのお別れは辛いよ。

フラれても、告白されたとしても、もう海斗くんには会えない。

これじゃあ未練タラタラのままだよ。

『…そっか、ありがとう』

松倉「だから、俺と」

『私ね！』

もう、話を聞いたらダメだ。

話を聞いたらもっともっと離れられなくなる。

『私、海斗くんのこと好きになってよかった。海斗くんから気持ちも聞けて嬉しかったよ』

松倉「何で過去形？」

『…うん、好きだった』

松倉「もう、好きじゃないの？」

そんな悲しそうな顔しないでよ。

捨てられた子犬みたい。

『海斗くん』

松倉「ん？」

『シーグラス、捨てていいから』

松倉「は？」

『私、今日のシーグラス一生大切にするね』

松倉「まって、ちょっ」

『じゃあね、海斗くん』

これでいいの。

これで、もう海斗くんとはお別れ。