涙で光るガラス (ページ27)

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職場に着いて、フロアに入って挨拶をしてデスクに座る。

パソコンの電源を入れた時、違和感に気付く。

会社の上長たちが慌てた様子で立ったまま円になって打ち合わせをしてる。

何かあったのかな。

そう思っていた時、直属の上長が私に声をかけてきた。

"始業後、話があるから会議室に来てほしい"

そんな内容で。

あの様子からすると、良い事での呼び出しではないことは確かで、急に胸がザワつく。

私、なにかやらかした？

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『…あ、スーパー寄らないと』

仕事終わり、ボーッと駅まで歩いて電車に乗って、いつの間にか家の近くにいた。

上長からの呼び出された内容は、遠方の支店の人員不足についてだった。

人員不足のせいで、そこで頑張って働いていたエースの社員は疲労が溜まって体調不良で入院したらしい。

その人がいないと回らないような支店で"支店崩壊の危機"だとか。

そんな状況にならないようにしっかりと職場の環境管理をするのが上の人の勤めじゃないの？なんて思いながら話を聞いていると

「急で悪いが、1ヶ月後にその支店に君を配属したい」

上長から言われたのは、こんな言葉だった。

確かに私がいる部署は人手が足りているけど、他にも社員はいるのに。

『どうして、私なんですか？』

嫌だよ。

「地元、近いだろ」

『そうですけど、それとこれとは』

「頼む。大事なプロジェクトで、ちゃんとその地域を知っている人にやってもらわないといけないんだ」

絶対に嫌。

前の私なら、あの海が好きだからってこっちの勤務を選んでたから、地元の方に配属になっても別に良かった。

でも、今は嫌だよ。

海斗くんと会えなくなる。

『出張じゃ、いけませんか？』

「今回の件であのエースが復帰してくるか分からないし、元々人員不足だから異動になる」

『でも私、ここに残りたいです』

「無理も承知でお願いしているんだ。他に向こうの地域に詳しくて尚且つちゃんと仕事を任せられる人はいないんだよ」

『…1日考えさせてください』

「わかった。申し訳ないな」

そんな話があってから、抜け殻状態で。

嫌だよ。

なんで私なの？なんで今なの？

他にも同じ地元の人はいるけれど、先輩は結婚していて異動させるのが難しいからって。

後輩にはまだ任せられないからって。

…そんなの、あんまりだよ。