涙で光るガラス (ページ22)

今日:19 hit、昨日:13 hit、合計:110,260 hit

22 ページ22

.

堪えきれない涙を流すと、私の身体を引き寄せて抱きしめてくれる。

松倉「ごめん。俺、女心とかあまりわからないから、こうすることしかできない」

黙って泣いたままの私の頭を撫でてくれる海斗くんの肩は、私の涙で濡れている。

松倉「だから、Aちゃんがしてほしいと思ってる事があるなら言ってほしい。Aちゃんが求めるまで、俺の気持ちは伝えないから」

ねぇ、なんでそんなに優しいの？

『…じゃあ、一緒に寝よ』

松倉「え？」

『変な意味じゃなくて、一緒にいたいから』

少し身体を離して海斗くんと目を合わせると、頭を撫でてくれていた手が頬に触れる。

優しく微笑みながら親指で涙を拭ってくれる。

松倉「いいけど俺寝相悪いから蹴っちゃうかもしれないよ」

『それでもいいよ』

松倉「ん、ありがと」

この前はそれぞれの布団だったけど、今日はひとつのベッドで寝る。

松倉「俺からもお願いあるんだけど聞いてくれる？」

シングルベッドの上に大人がふたりいたら狭いのは当たり前で、向かいあわせに寝転がって少し身体が触れる。

『うん、いいよ』

松倉「明日もここに来たい」

『でも海斗くん忙しいんでしょ？今日泊まってくれるんだから、明日はお家帰ってゆっくり寝た方がいいよ』

松倉「自分の家で寝るより、Aちゃんといた方が癒されるから疲れも取れんの」

『…』

優しく頬を撫でられる。

勘違いしちゃうから、そんな目で見ないでよ。

ベッドの上で、甘い雰囲気に酔ってしまいそう。

松倉「照れた？」

『…おやすみ』

松倉「こら、逃げんな(笑)」

目を逸らすために寝返りをうとうとすると、肩をぐっと引かれて腕の中に収まる。

松倉「一緒に寝るんでしょ？」

『ズルい』

松倉「嫌？」

『…嫌じゃない』

松倉「俺も」

私が好きと言ってから、海斗くんは少し積極的になった気がするのは気の所為だろうか。

私、弄ばれてるのかな？

海斗くんに限ってそんなことはしないと思ってるけど、人は見かけによらないって言うし…

『海斗くん、好き』

松倉「ありがとう」

『大好きだよ』

松倉「うん」

返事はいらないなんて言った私が馬鹿だったかもしれない。

嘘でも、好きって言ってほしい。

私の好きに、好きって返してほしいよ。