涙で光るガラス (ページ16)

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メイクを終えて、朝の9時半。

海斗くん、お昼からお仕事って言ってたけどもう起こさないとマズイかな？

ここから海斗くんの家に着くのが1時間半くらいなら、今出ないとお仕事に遅れちゃうかも。

寝室に行っても、海斗くんは変わらずお腹を出して寝ている。

『海斗くん、9時半だよ』

こういう時どうやって起こすのが正解なんだろう

声をかけるだけじゃ起きないみたいで、肩を軽く叩きながらさらに声をかける。

『起きなくて大丈夫？』

松倉「んー…」

薄目の海斗くんは、目を擦りながら寝返りをうとうとした瞬間

松倉「ん！？」

急にガバッと起き上がった。

『海斗くん、おはよう』

寝癖であちこちからピョンッと跳ねてる髪の毛を両手で抑えて、私の顔をまじまじと見てくる。

松倉「あー…そっか、泊まったんだった。おはよ」

"寝ぼけてたからビックリした"と笑う寝起きの海斗くん。

今9時半だよと伝えると、すぐに帰る準備を始めた。

やっぱり、時間はないみたい。

松倉「泊まらせてくれたお礼、今度させてね」

慌ただく準備を済ませた海斗くんは、玄関でつま先をトントンと床に付けて靴を履いた。

『そんなのいいよ。私こそ、雷のことで迷惑かけちゃったし』

松倉「それはいいから。ご飯美味しかった！じゃあ、いってきます」

『いってらっしゃい！』

なんだかくすぐったい会話をして見送った。

寝室に戻ると、綺麗に畳んで重なっている布団と、貸したジャージ。

洗濯をするのにジャージを持つと、ほのかに香る海斗くんの匂い。

どうしよう、もう何をしても海斗くんのことで頭がいっぱいみたい。