涙で光るガラス (ページ14)

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私は明日お休みで、海斗くんは終電逃しちゃったし仕事はお昼からだからって結局私の家にお泊まりすることになった。

2人でお皿洗いをしていたら、強い雨は止んでいて雷も鳴らなくなった。

雷が鳴らなくなれば不安なことなんてなくて、海斗くんにお風呂いいよと勧めた。

松倉「気持ちよかったー、お風呂ありがとね」

髪をわしゃわしゃタオルで拭きながらリビングに来た海斗くん。

『やっぱりちょっと小さかった？』

男の子にしては身長が低いから、私の緩めの服だったら大丈夫かなと思って、高校の頃のジャージを貸したんだけど

足の裾は足りなくて足首が見えてるし、意外と体格が良くてTシャツは肩周りがキツそう。

松倉「大丈夫。色々貸してくれてありがとう」

お風呂上がりですっぴんの海斗くんは、私が貸した化粧水を付けてお肌がうるうる。

女子顔負けの可愛さ。

私も入ってくるからと声をかけて、ドライヤーを渡した。

お風呂からあがって、流石にまだすっぴんは見せられないからと思って、軽くメイクをした。

パジャマも、いつものヨレヨレのスウェットじゃなくて普段着ないようなモコモコの可愛いものを出した。

リビングに戻ると、海斗くんはスマホでダンスの動画を見ていて

『あがったよー』

声をかけると、焦ったようにスワイプして動画を消した。

松倉「ドライヤーありがとう」

『私も使うね』

洗面所に行って髪を乾かして戻ってきたら、また海斗くんはさっきと同じようなダンスの動画を見ていた。

『海斗くん、ダンスの動画見るの好きなの？』

松倉「…見てた？」

『うん。さっきも同じの見てたし、好きなのかなって』

松倉「そっか…」

『好きなダンサーさんなの？』

松倉「あー、うん、そう」

歯切れの悪い返事をした海斗くん。

きっとこれも私が踏み込んじゃいけないことなんだ。

松倉「Aちゃん？」

『…海斗くん』

松倉「ん？」

『海斗くんってさ、』

"今の海斗くんのことあまり教えてくれないよね"

そんな嫌味臭いこと言えない。

ストレートに聞けばいいだけなのに、聞かない私が悪いから。

『…なんでもない』

松倉「なんだよ、気になるじゃん」

『なんでもないの。ほら寝よ』