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"でも親しい仲にも礼儀ありじゃないけど、お互い気遣いだけは忘れずにしようね"
そう言ったAちゃん。
そういう心遣いできるところ好きだなぁ。
松倉「…俺と、付き合ってくれませんか？」
目を合わせて言うと、また涙を流しはじめる。
『はい、よろしくお願いします』
Aちゃんが涙を拭うと、つけているシーグラス付きリングが光る。
松倉「泣きすぎ」
『だよね』
松倉「これから仕事行くんでしょ？」
『海斗くんのせいでもうメイクよれよれだよ』
松倉「え、俺のせい？」
『うん』
松倉「じゃあお詫びって言ったらあれだけど、これ。さっき見つけたのあげる」
さっき木の枝で砂浜を掘って見つけた小さなシーグラスを渡すと、嬉しそうに握りしめる。
『いいの？ありがとう』
松倉「シーグラスで色々作ってくれてありがとう」
『リング、勝手にペアにしちゃってごめんね』
松倉「いや、めっちゃ気に入ってるよ」
『よかった！』
松倉「いつかさ、俺から指輪あげられるように頑張るから」
『…それって』
松倉「ごめん、重かったかも」
『ううん、嬉しい。ゆっくり話したいけど、私そろそろ仕事行かなきゃ』
松倉「俺、明日仕事だからこの後帰るんだ」
『そっか。そしたら今度は予定があった時だね』
松倉「そうだな」
『今日はありがとう』
松倉「こちらこそ」
『…じゃあまたね、海斗くん』
あの街で何度も見た光景に似ている。
あの時にはなかった涙が乾いていないキラキラしたシーグラスのリングがついた手を振って、駅の方に向かって行こうとする。
松倉「駅なら俺も一緒に行く」
もうAちゃんのことは手離したくないから、時間が許す限りどこまでも一緒に行くよ。
『うん、わかった。一緒にね』
もう、シーグラスを光らせるのは嬉しい時だけにするから。
-fin-
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作者名：愛生
| 作成日時：2021年10月10日 15時
