ななじゅうきゅう ページ13
戒「死は…自らが下します。」
そう言ったカイさんの両手首から、血が滴っていた。
…調理室の包丁で、手首を切っていた。
ホ「き…貴様！なに勝手なことを…！」
それを止めようとしたホエミーを、Qタロウさんが足止めした。
…Qタロウさん力強いしな…
戒「サラさん…聞こえてますか…？」
未だ動こうとしないサラちゃんに、カイさんが声をかけた。
しかし、返答はない。
戒「聞きなさい、サラ！」
聞いたことないカイさんの叫び声に、サラちゃんは顔を上げた。
戒「これは…抵抗です。
誰一人救えず…敵の思うがままに命を弄ばれ…
死んでいく私たちの…か細い、抵抗の一撃…
けれど大きな…反撃の一歩…！
これは…あなたが時間を稼いでくれたから…踏み出せた…一歩です。
決して…無駄では…ないのです…！
あなたに託します…！
私たちの悔しさを…希望を…！
そして…サクラさん…」
『…なんですか』
戒「サラさんを、頼みます。
あなたは一番周りを見ている…
…支えてあげてください。」
カイさんは僕を真っ直ぐ見据えた。
…今まで、期待されたことなんてなかった。
見捨てられて、放置されて育ってきた。
…今、僕は見られているんだ。
それが、少し嬉しかった。
『…はい。』
僕が頷くと、カイさんは満足そうに笑った。
そして、そのまま、息絶えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
YUKI - 更新ありがとうございます。この先の物語が気になってしまいます！無理しない程度に頑張って下さい。 (2021年7月10日 21時) (
レス) id: e305977ea6 (このIDを非表示/違反報告)
tukina0123(プロフ) - 面白かったです!! (2021年7月9日 7時) (レス) id: 9d282b76d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暁刹那 | 作成日時：2021年7月8日 19時
