dear chocolate２ (ページ34)

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病室の入り口にただ項垂れて座り込む俺を抱きかかえる奴が居た。

「おいっ･･･しっかりしろ」

「ジ･･ジヨン･･･・」

様子がおかしいからって、何も言わず走り去る俺を追いかけて来てくれた。

「そばに行って話しかけてやれよ！しっかりしろ！！」

そういって、俺の背中をドンっっと押した。

重たい足取りで、Aに近づく･･･・

青白い顔で、眠るA

「A･･･・？･････A？」

目を閉じるAの顔を手のひらで包み込み顔を寄せる・・

Aのぬくもりと･･･Aの優しい香りが伝わってくる。

「A･･･ただいま。遅くなってごめんね･･･。」

「ね？･･･・僕だよ･･･・起きてよ・・・ね？・・・ね！」

大きな声で叫んでも Aの目が開くことは無かった。

叫ぶ俺を病室からジヨンが連れ出して俺を強く抱きしめて「しっかりしろ！」と・・・

ジヨンの前で･･･泣いた・・・・

何も言えない。

泣くことしか。

夜が明けても

Aの目は、開くことは無かった。

ドクターから呼ばれて状況を話されたけど

何も耳に入って来なかった。

･･･俺へのプレゼント

楽しみにしていたプレゼントって？

ドクターの話の後･･･

ただ、Aが眠る横で Aの手を握り人工的な呼吸音を耳に、人工的な機械音しか聞こえないこの部屋で･･･

「A？プレゼントっ有難うっ･･･」

と、Aのお腹に手を乗せる。

「こんな大事なものを・・・ほんと・・・有難う」

「どうしたら良いんだよ･･･どうしたら！」

泣くだけしか出来なかった。

それから・・・

数年後・・・・

「パパ～♪」

僕の可愛い宝物が僕の手に飛び込む。

Aからのプレゼント、大切にしてるよ。

とっても。

Aは、旅だってしまってけど、僕の手には、大切な宝物を残してくれた。

「ぱぱ～！お口開けて！」

「ん？」

お口入れてくれたのは、甘いチョコレート。

熱くなると溶けて無くなるチョコレート。

Aとの出会いは・・・

甘いチョコレートみたいに溶けていった・・・・。

dear・・・・chocolate・・・A

サランヘ・・・