第一章 4 ページ5
「記憶喪失って事でお願いできますか？」
ラインハルトさんが、申し訳なさそうに言ってきた。
「別にそれぐらい大丈夫ですよ。
こっちは、色々と迷惑かけるわけだし、全然平気です。むしろ、色々とありがとうございます。」
「これで、色々とやり易い理由ができたね。」
まあ、何も持ってない人を家に呼ぶには色々と理由があった方が文句を言われないで済むからだろう。
ここまで考えてくれる彼は、人が良すぎる。
こんなお人好しも、どの世界にも居るもんなんだな、と勝手に一人で納得する。
先程教えてもらったのだが、とかげの引いている馬車的なものは、竜車と言うらしい。つまり、引いているのは竜だ。
「アストレア家の方まで、送るよ。
生憎、騎士としての仕事があるから、これからずっと君の相手ができる訳じゃないけどね。」
私が考え事をしている間に、彼はどこからか竜車をひきとめ、それに乗るよう促した。
「これからどうやって生きていくかは君がこれから自由に決めたら良い。そのためなら、僕の力でよければいつでも貸すよ。」
そう言ってラインハルトさんは、笑った
「そうですね、できるなら、思い切り羽を伸ばせるところで生きていきたいですね。」
少し考えれば、たどり着く。自分の欲望。
そんな場所、探さなかっただけで、本当は日本にあったのだと思う。そんなことは、ネットに触れるだけで、わかってしまった。
すぐ近くにある、なりゆきで自分の欲望を満たせるところ。
それがなかったから、私は周りを窮屈だと感じていた。
ずいぶんと、わがままである。
しかし、ラインハルトさんは嬉しそうに笑っていた。
「そっか、目的があるなら、応援するよ。
僕は騎士しか、選べなかったけど、君になら選択肢が今からでもあるはずだ。」
「騎士…」
疑問に思うところもあるが、彼は本当にお人好しだ。応援してくれるなんて、思ってなかった。
少しだけこの人の隣で生きてみたいと思った。
その優しさを心地よいと思ってしまったから。
隣にならんで見る世界はどんな景色だろうか。
「何でも、良いんですね？」
「僕にできる範囲でお願いするよ。」
１つ、野望が私の中に芽生えた。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←第一章 3
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しぇるふぃあ。 - 初めまして！ラインハルトさんの爽やかさ眩しさの描かれ方がすごく好きです。強めの主人公がこれからどんな道をあゆむか楽しみになってきました…！更新楽しみにしていますがご無理はなさらず！ (2017年5月13日 14時) (
レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：a.ze | 作成日時：2017年4月6日 12時
