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しばらくして、臣さんの何度目かのソロライブが発表された。
もちろん、隆二さんも。
『Aは臣に帯同するんだよな?』
『そうですね』
『えー!たまにはA貸してよー』
『は?ダメに決まってんじゃん(笑)』
わちゃわちゃしながら廊下を歩いて、それぞれのミーティングが行われる会議室に入る。
その直前、隆二さんがふわっとハグしてきた。
『頑張れよ』
耳元で甘い声の激励を受けて、意に反して赤面してしまった。
『ちっ!なに隆二に赤くなってんだよ!』
『い、いひゃい!』
臣さんにほっぺたをつねられたまま会議室に放り込まれた。
そんな私達を隆二さんは笑いながら見て、軽く手を上げてから隣の会議室に消えていった。
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臣さんのツアーが始まった。
全国を回る大きな大きなツアーで、公演を1つ終える度、臣さんはスターへの階段を更に上っていく。
陰ながら支えられているのかと不安になるけれど、そんな私の気持ちは、臣さんにはバレバレで、舞台袖に捌けて来たときや公演終了後に必ずハグして自信を持たせてくれる。
『俺がこうして頑張れるのは、ファンの皆さんが応援してくれるから。そのファンの皆さんの前に立てるようにしてくれてるのはAだよ』
って……
臣さんが、臣さんらしく
お仕事を頑張れるように
オフの日は、肩の力が抜けるように
私は、私に出来ることを
頑張りすぎないでこなしていく。
スポットライトを浴びて、キラキラと汗を流しながら、客席に向かって笑っている臣さんを見つめた。
『広臣、最高にカッコいいよ』
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fin.
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作者名:花梨 | 作成日時:2018年7月21日 23時