検索窓
今日:17 hit、昨日:0 hit、合計:183,416 hit

086 ページ36

引っ越し当日。



更新はまだのはずなのに、勝手に解約されていて、手回しのよさに呆れている。



もともと荷物も少ないから、引っ越し業者さんがあっという間にダンボールに詰めていくのを、これまた呆然と眺めていた。



『では、お引っ越し先で!』



爽やかな引っ越し業者さんが小さいトラックに乗り込んで走り去った。



荷物が何1つなくなったガランとした部屋で、この部屋に越してきてからの事を思い出して感傷に浸っていると、玄関のチャイムが恐ろしいほどに連打された。



『……はい』



玄関を開けると、少し不機嫌な臣さんが立っていた。



『遅ぇーよ』



『え?あの…』



『行くぞ!』



臣さんに引っ張り出されて鍵を閉めた。



『お…広臣の部屋で待ってると思ってた』




『そのつもりだったけどさ、じっとしてらんなくて』



そう言って、照れたように笑う臣さんの右手をそっと握った。


それで機嫌の良くなった臣さんに連れられて食料品の調達に…



『あの…部屋に行かなくていいのかな?
荷物届くと思うんだけど……』



『あぁ、事務所繋がりの業者だから大丈夫だと思うけど、念のためにマネージャーに居てもらってるから』



『そうで…じゃなくて、そうなんだ』




そして、ふと気付く。



『今更だけど、一緒に住んで大丈夫なのかな?』



『なにが?』



『ほら、その、写真…とか?』



『あー、一緒に出入りしなきゃ大丈夫だわ(笑)』




そういうもんなの?
軽くない?
そりゃ気を付けますけども…




何にすっかなぁー♪


ってお肉コーナーでおめめをキラキラさせている臣さんの背中を見ながら苦笑いしか出てこなかった。

087→←085



目次へ作品を作る
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
596人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花梨 | 作成日時:2018年7月21日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。