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スタジオの入り口に立つ人が両手を広げて笑っている。




彼に気付いたリョウさんが少しだけ苦笑いした。




『A、今日はもう上がっていいから』





『え?でも……』





『いいからいいから!おつかれ!』





リョウさんは、私の荷物をポイっと放ってスタッフの元に戻っていった。





『すみません。ありがとうございます!
お疲れ様でした』





スタジオ内のスタッフに大きな声で挨拶をして
小走りで彼の元に向かう。





『A……』






両手を広げた彼の胸に飛び込んだ。





『なんか雰囲気変わってね?大人っぽくなったじゃん』





『ここにいると刺激を受けるから……
メイクも変えました』





『そっか……思ってたより元気そうで安心したよ』





うんって頷いた私の頭を優しく優しく撫でてくれる。




『なんかめっちゃ見られてるからさ
出よっか?恥ずかしいわ(笑)』






並んでスタジオを後にする。





『どうして来たの?』





『仕事もあったし……』





『MVの撮影?』





『まぁそれもあるけど……』





優しい眼差しで私を見下ろす。





『なんかあったら飛んでいってやるって言ったろ?』





『…………隆二さん』






『あーもう、泣くなって(苦笑)』





立ち止まって泣いてしまった私の涙を、一生懸命拭ってくれる隆二さんの指が優しすぎて、涙が溢れて止まらない。

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作者名:花梨 | 作成日時:2018年3月9日 23時

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