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こんなはずじゃなかったのに……
久しぶりだね
元気か?って
臣さんが、以前のように優しく話してくれたら、知らないふりをし続けようと思ってた。
だけど、なに?って言われた瞬間、私の中の不安な気持ちが溢れ出してしまった。
気が付いたら、臣さんを責めるような事ばかり言ってしまって…
でも、止められなかったの。
やっぱりあの時、臣さんに聞けば良かった。
奈緒さんと写真撮られちゃいましたね。
一緒に飲んでたんですか?って
そしたら、臣さんは
そうなんだよ。偶然会ってねって教えてくれたはず。
離れてるから、知らないなら教える必要もないって思ったはずだもん。
私が臣さんを好きすぎて、不安になるってわかってるから。
今まで黙っておいて、いきなり責められて
だから、いつも優しかった臣さんが、あんなに怒るのも無理はない。
そう
私がL.A.に来なかったら
今でも臣さんのメイクをしてたはず
二人で鏡越しに目を合わせて笑って
それだけでも胸がキューってなって……
お子ちゃま体型で、中身もお子ちゃまの私を
素敵な臣さんが好きになってくれた事が奇跡だったのかもしれない。
電話を切ってしまったのは、最後の言葉を聞きたくなかったから
『さようなら』
そんな言葉を聞いてしまったら、私はもう……
ポケットの中で震える携帯の電源を落とした。
『Aー!いつまで休憩してんだ!』
リョウさんに呼ばれて駆け出す。
見返すとか、そんな気持ちじゃなくて
ここに来た事を後悔しないように
いつか再会するであろう彼に
恥ずかしくないように……
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作者名:花梨 | 作成日時:2018年3月9日 23時