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奈緒との熱愛報道が出て、その対応に追われていた。



実際追われていたのはスタッフさんなんだけど、どのsnsを開いてもその事についてコメントされていてうんざりする。



あの日、一人で飲んでたところに、偶然 奈緒がやって来た。
付き合ってる時によく行ってた店で、今まで会わなかったのが不思議なレベル。



『あれ?臣じゃん!1人?』





『あー、久しぶり』




『Aちゃんに置いてかれて傷心中?(笑)』




『バカじゃねぇの(笑)』




奈緒は、当たり前のように俺の隣に座り、あの頃と同じものをマスターに頼んでた。



そこそこ飲んだ俺達は、いい感じのほろ酔いで




『寂しいんでしょ(笑)』




『そりゃ寂しいよね』




懐かしい奈緒の香りに引き寄せられるように身体を寄せた。




『いつもスカしてるから置いてかれるんだよ(笑)胸はダメだけど、肩なら貸してあげるよ?』




『ん……じゃあちょっと貸して』




俺は奈緒の細い肩に額をつけた。





『臣って寂しがりだもんね…』




奈緒の細い指が俺の髪に触れ、優しく頭を撫でてくれた。




『会いに行きたくても時間ねぇし
LINEしてたら声聞きたくなるし
声聞いたら帰って来いって言いそうだし
だから…LINEも電話もしてない』




『ダメじゃん。Aちゃん、意外とネガティブなんだから…』





『カッコわりぃとこ見せらんねぇじゃん』





『バカだねぇ(笑)ほら、もう帰ろ?送ってく』




奈緒に抱きかかえられるようにして店を出た。





『深夜だし、ちょっと歩きたい』




『ほんとワガママ(笑)』




奈緒は俺のワガママに付き合ってくれて、マンションまでの道を一緒に歩いてくれた。




『部屋まで送るね。酔い回ってんでしょ(笑)』





結局、部屋の前まで送ってもらって、奈緒はタクシーを呼んで帰って行った。




まさか撮られてるなんて思いもしなかったし
海外にいるAに知られる事はないだろうと思ってた。
頻繁に連絡をとってる隆二や岩ちゃんから聞くAは、いつも通り、元気で忙しそうだったから…

お前が一人で泣いてるなんて思いもしなかった。

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作者名:花梨 | 作成日時:2018年3月9日 23時

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