青色の虹 (ページ31)

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ふと、目に入った

あの頃と全く変わらない

「おばさん・・・？」

Aのお母さん。

「あ、あのっ、おばさん、・・・俺、」

「たかちゃんじゃないの、まあ、大きくなって」

胸の奥深くに、もう開かないように、と

鍵をかけて仕舞い込んでいた君との思い出が

次から次へと飛び出してきた

「Aは？・・・あの日、急にいなくなったから、」

「あの子、" たかくんには知らせない "って

私が何度言っても頑なに拒んでたの」

「な、なんで？」

君はどんな隠し事をして俺の前からいなくなったの？

ふわり、力が抜けていくような気がした

その刹那へなへなと座り込んだ俺は

おばさんに支えられてとりあえず、改札を出た

「本当は少し、用事があったんだけど

それは後回しにできるから・・・

たかちゃん、今日1日、お願い聞いてくれる？」

「え、あ、うん・・・」

本当は少し、いやだいぶ緊張していた

おばさんとは顔をあわせるぐらい、

Aを宜しくね、そう頼まれるぐらいで

がっつり対面で話したことはなかった

「どこ、・・・行くの？」

「そうね、内緒、」

彼女はよく見るとAにそっくりで、

いや、Aが彼女に似たんだろうけど

ずいぶん整った顔をしていた

「ここ、・・・ここに連れて来たかったの」

Aが怒るかしらね、

そう言っておばさんは微笑んだ

「A？」

「さ、行きましょう」

まるで俺の声なんて聞こえてないかのように

綺麗に聞き流し、

いや本当に聞こえなかったのかもしれないけど

初めて来た、慣れない造りの

真っ白な壁をした病院へと、足を進めた

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