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授業と授業の間、10分休みには
俺の周りに人だかりが出来た
隣のクラスや階の違うクラスからも
見物人がやってくる
「どこから来たのー？」
「埼玉の所沢ってところ」
「え、あの人が転校生？」
「こんにちは」
転校生である俺を確認にくる人たちが8割を占め
同じクラスの友達は質問攻めで
それでも彼女は黙って
前を向いて机に向かって勉強していた
周りの人たちみたいに
もっと笑ってほしいのに、
もっと話したいのに、
彼女は自分のことを誰も見ていないと言って
少し寂しそうに笑っていた
そんなことないよと、そう言えたらいいのに
そう思うだけで何も言えない自分がもどかしいと
この短期間で一体何度後悔しただろう
「クラスの人の顔と名前、覚えたいんだけど」
「じゃあ端っこから、あの子は長谷川A
地味で話さないから多分覚えなくても大丈夫」
たまたま前の席にいた子に話しかけると
あの子は覚えなくても大丈夫、と
何故だか無性に泣きたくなった
何故だか無性に腹が立った
何故だか俺まで心がえぐられたような気がした
彼女は今までどのくらい
そう言われてきたのだろうか
俺には計り知れないものを
どのくらい背負っているのだろうか
この子に聞いたのが悪かった、
自分を責めた
「そっか、もういいよありがとう」
「え、うん」
気分が悪くなって、教室を出た
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作者名：葵
| 作成日時：2016年6月12日 11時
