青色の虹 (ページ28)

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「あれー、今日いないのかな」

砂利がくまなく敷き詰められた車のない駐車場を

音をできるだけ立てないようにそーっと歩いた

少しだけ庭の方で待ってみたけど、

人ひとり通らなかったから諦めて帰ろうとした時

「たかくん？」

「あ、A！お買い物いってたの？」

「・・・うん！おかいもの！」

俺は、気がつかなかった

もっと、よく考えれば分かったことに

「あら、たかちゃんどうしたの？」

「おばさん、Aに渡すのがあったから

ちょっとAと遊んできてもいい？」

「いいけど、いつも通り遅くならないようにね」

「わかった、行こ！」

買い物に行ってきたはずなのに

車から出てきたおばさんは

白い袋をひとつ、持っているだけだった

それほど、純真無垢であったことを恨むのは

後にも先にもこれだけのような気がする

「あのね、手ぇ出して！」

「手？」

「左手！」

左手を差し出したAの前で

紙袋をガサツに開け、中から指輪を出した

「おれの母ちゃんも父ちゃんから貰った指輪してて

おれも、おれのお嫁さんにあげるから、これ」

「きれい！・・・たかくん、ありがとう！」

キラッキラな君の笑顔をずっと俺が守るんだって

隣でその笑顔を一生見てるんだって

舗装されていない土の一本道の向こうに

でっかくてまんまるい、綺麗な夕日が眩しかった

「A！また明日なー、それ大切にしろよ」

「・・・ありがとう！大切にするね！」

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3日後、君は俺の隣から居なくなった

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