青色の虹 (ページ26)

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「ねぇちゃん、おれより年おっきいから我慢しなよ」

そう言ってとんでもなく怒らせたこともあった

私は好きでねぇちゃんやってるんじゃない、と

今思うともっともな正論だ

何かにつけて年上を理由に、

ねぇちゃんを我慢させていたなあと思うのは確かだ

お母さんはいつも黙って俺たち見ていた

どちらかが手を出したときに止めにくる以外は。

ひとしきり揉めた後は仲良くお風呂に入った

シャンプーや洗顔料を的に見立てて

水鉄砲で打つ遊びが俺もねぇちゃんも好きだった

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母ちゃんはいつもせわしなく働いていた気がする

そして事あるごとに、左手薬指につけた指輪を

触っては嬉しそうに笑っていた

「母ちゃん、その指輪なに？」

「父ちゃんがくれた指輪なのよ、」

「そっかぁ、父ちゃんはどうしてくれたの？」

俺が指輪を人差し指でツンツンとつつくと

俺の手ごと覆うように指輪を優しくぎゅっと握った

「剛典はまだ分からないかもしれないけど

好きな人に指輪をあげるのが決まりでね、

貰った人は左手の薬指に付けるの、

その人に私も好きだよって知らせる意味で」

「そんな意味があるんだね」

父ちゃんは母ちゃんが好きで母ちゃんも父ちゃんが好き

俺の大好きな父ちゃんと、俺の大好きな母ちゃんは

二人ともお互いのことが好き

当時の俺がわかったことはこんくらい

父ちゃんは俺が産まれて

すぐにびょうきで死んじゃったらしいから

俺は父ちゃんのことを全然知らないけど

母ちゃんは今も変わらずに

指輪を見つめて父ちゃんを思い出してるんだと思う

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